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隙を魅せて。33
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“麻井真生”
中学の入学式で声かけられて、仲良くなった…
ただ他の女子と違ってそれだけの関係だった
中学2年の秋、珍しく長く続いた彼女とのデートの日
だが、待ち合わせ場所に時間を過ぎても彼女は現れなかった…
少し不思議には思ったがその日は二時間待った挙げ句に帰ることにした
ところが次の日学校へ行くとその彼女は事故にあったと聞かされ、しかも持っていたバックの中に遺書と見られるものが入っていたという
―彼女はそんなことするわけない
そうは思ったが俺は何が真実なのか、わかるはずもなかった
数日後、麻井が学校を初めて休んだ
その前日…彼女は目を覚ましていた。そして語った、“麻井真央に脅された”“西園寺類は私のモノ…誰にも渡さない”と…そして事故に遭わされたと…
狂った愛情―
麻井は出会ったその日からずっと俺を見ていたらしく、誰よりも好きだったらしい…
「ぃ、い!」
一年少年院に入れられ出てきた今、俺と同じ高校に入学してきた…
…―またあの頃と同じことをするつもりなのか…
「…ぃ、るい…類!」
「っ!啓ちゃん…どうした?」
「どうした?じゃ、ねーだろ!?なんだよボーッとしてさ、なんかあったんか?」
「いや、ないけど…考え事してた」
ふーん、と深く触れない緒方は今までの経験でそれが正しいのだと思っているからであろう
そんな緒方に感謝する
これは…俺が行動したら、それだけで済むのか
心咲さんには…あの人だけには手出しさせない…
――――――――――
「ふぁあ、終わったー」
ぐっと背伸びをし時計に目をやると
「げ、もう8時になる…」
早く帰ろうと身仕度を手短にすると不意に職員室の扉が開きドキッとする
「お疲れ様です、日向せんせ」
ニコッと微笑み現れた阿久津に内心安心してしまう
「コレ差し入れです」
「あ、ありがと…調度喉乾いてて」
「それは良かったです」
缶コーヒーを手渡すと心咲は笑顔で受けとる
「…」
「どうかしました?」
「いや、なんでもない」
ガタッと音を発てイスから立ち上がると二人で職員室を後にする
「それにしてもこんな時間まで何を?」
「…何してたんでしょうね」
「え?」
「はは」
質問したはずの答えは答えと呼べるものではなく困惑する
コツ…
「!」
「いっ!?」
「え?阿久津先生!?」
「っ…く」
誰からが離れていく足音が聞こえるものの薄暗い廊下では何が起こったのかですら把握出来ない
「阿久津先生?」
「日向先生…なんともないですか?」
「え、あぁ…あの…」
突然のことに困惑するばかりの心咲は阿久津の声に敏感に反応する
「俺は、大丈夫ですから…肩貸してもらえますか?」
「はい!」
辛うじて見える屈んだ体勢をとる阿久津の腕を自分の肩に回す
ポタッ―
「?」
え…何―この匂い…
「ぁ、阿久津先生…っ…」
「平気です…貴方に怪我がなくて良かった」
やっぱり、この匂いは“血”の匂い!
「き、救急車を」
「大袈裟ですよ、これくらい…」
「何言ってるんだ!」
「…!ふふ、ごめんなさい」
なんで阿久津先生がこんな目に!
誰がこんな……っ
麻井真生…俺のせいで、俺が別れないから?
だから近くにいる阿久津先生に?
俺が…俺…
「日向先生…」
「あ、あんまり喋るとっ」
「大丈夫ですから…」
「でも血が!」
「貴方は悪くない、だから責任感じないで下さいよ?」
「っ!!」
こんな時までいい人ぶりやがって、そんなのどうでもいいだろ
俺のせいで阿久津先生が怪我させられるなんてっ…
―――――――
暫くすると駆け付けた救急車に運ばれ病院へと向かった
傷は浅かったらしいが傷を負った場所がこめかみだった為、念のため二三日入院になった
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