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隙を魅せて。34
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後日ちゃんとしたお見舞いをしに仕事を早く終わらせると病院へと向かった
「阿久津先生…」
「日向先生…」
「あの…」
「来てくれてありがとうございます」
「そんなの当たり前だろ!」
頭には包帯が巻かれ、昨日のことを思い出させ言葉が出てこなかった
“来てくれてありがとうございます”なんて呑気に笑って見せる阿久津に強く当たる
俺のせいで阿久津先生が怪我を負ったのに…
俺のせいで…
「日向先生…責任感じないで下さいよ?俺は自分から貴方のそばにいると言ったし、日向先生が責任を感じるのはおかしいですよ」
「けどっ」
「おかしいですよ」
ガラッ
「!」
「阿久津先生!」
「!啓…」
「誰にやられたんだよ、こんなの」
「大丈夫だよ心配して来てくれたんだ?」
「当たり前だろ」
突然病室に飛び込んだ金髪は緒方啓―
大方ここの病院だと教えた人がいるんだろう
心配そうに今にも溢れそうな涙を堪えながら阿久津と話す緒方
「っなんでアンタがここにいんの」
「日向先生は見舞いで来てくれたんだよ」
心咲が居ることに気付くと緒方啓はキツく睨む
その視線にドキッとする
「…本当にそれだけなのかよ」
「え」
「あんたを狙ってた奴が阿久津先生を襲ったんじゃねーの!?」
「!それは」
「出てけよ、アンタなんか嫌いだ!今すぐこっから出てけよ!」
「っ」
「啓!」
「そうだな…」
「日向先生!」
「いいんです!俺のせいなんです、あとは頼んだ」
ポン、と軽く啓の肩を叩き病室をあとにする
緒方の言うことは正しい。
事実何1つ否定できることはなかった
だけどない温もりは求められない
類にだけはバレてはいけない
こんな、こんな危険な目には遭わせられない
なのに会いたい
抱き締め合いたい…
―――――――――――
「日向先生…」
「!」
「来てください」
「な、おいっ」
翌日、学校へ着くと待ち構えていたかのようなタイミングで現れた類に小さく震えた
突拍子もなく腕を引かれ近くの教室に連れ込まれる
「なんだよ、話ならこんな強引にしなくても聞いて…」
ガンっと鈍い音が心咲の言葉に被るように響き渡る
「……」
「さ、西園寺?」
「阿久津先生が怪我したんだって?」
「ぇ、あぁ…」
「そんとき、一緒に居たんだろ…」
「…っ!それは、その」
「俺には仕事で、あいつとは一緒?」
「西園寺!それは!」
「言い訳かよ、っざけんな!」
「ッッ!」
再び鋭く鈍い音が響く教室に緊張感が走る
類の言葉に言いたい気持ちと裏腹に言えない気持ちが胸を縛る
「昨日も学校終わって足早に病院に向かってたんだろ?」
「それは…しょうがないだろっあれは俺が…っ」
「あんたはどうして俺のこと頼ってくんないの…本当ムカつく」
壁に追い詰めると心咲のネクタイを解く
「さっ…!や、だ」
「何が?」
「っこんなとこ誰かに見られたら」
「さぁ?俺は見られてあんたに近付く奴が居なくなるならそれでもいいけどな」
「っ、西園寺!やめ」
耳を舌で愛撫しながらシャツのボタンを器用に外していく
「あんまり声出すと本当に誰か来るぜ?」
「っ!っとに…やだって!」
体に残る力で類を引き剥がすと息を調えながら睨み上げる
「…」
「っはぁ、はぁ…」
「――分かった、じゃあもう勝手にしろよ」
「さい…っ!」
バタン―
俯いたままそれだけを言うと教室から出ていった類の行動に目を見開き身動きが取れない
唐突過ぎたその時間は偉く短く感じ、予鈴の音で漸く我に返る
「っ…」
どうしたら良いのか分からない
壁に背を預けると、それに伝って床との距離を縮めて行く
西園寺を守る代わりに西園寺を無くす現状は辛すぎる、出来るなら抱き締めて全て受け入れて欲しい
はだけたシャツを握り締め小さく踞った
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