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隙を魅せて。35
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完全に拒絶の態度だった…
少しずつでも距離が縮まってると思ってたのに、俺だけかよ
学校中へ響き渡るチャイムを風と共に流し眩しい青を眺めた
「……」
全部分かってやって、そんで抱き締められたならこの気持ちは満たされんだろうけど…
なんで心咲さんは言ってくれないんだ
―キィ
「さ、西園寺さん」
授業の始まるチャイムは鳴ったばかり。
その筈なのにこの場所に来れるやつなんて限られている
寧ろ俺が居たと知っていたのか…
答えは後者のようだが、そらよりも話し掛けてきた人物に驚く
「麻井…」
「はい、あ、あの…」
「付き合ってくれる?」
「え?」
「俺と、コイビト同士になってほしんだけど」
「っ、本当にですか?!」
「あぁ、本当…駄目かな」
「い、いえ!お願いします」
「お願いしますって…こちらこそ」
クスクスと笑うと頬を赤らめ俺を見る麻井
そんな麻井の腕を引き抱き締める、そして―
「愛してる」
そっと耳元で囁いた
―――――――――――
始まりのチャイムが聞こえた
幸いこの教室を使う時間ではなかったのだろう廊下にも生徒の声は聞こえない
授業時間、自分の担当教科でないときはいつも職員室に居た
なのに…
こんなの初めてだ、けどどこか落ち着く
「…」
教室の並びのせいで光が届かない特別教室
少し肌寒くも感じた
だが今更戻ったとしても、話を聞いてくれる阿久津先生もいない。
ガラッ―
「!」
「…日向、先生」
突然開けられた扉に驚き入ってくる人物を確認した
するとそこに居たのは…―
「緒方…なんでここに」
「サボりだよサボり、以外に何があんの」
「……そうか」
「!なんだよ、いつもみたく怒んねーの?」
「なんだ怒られたかったのか?」
「ちげーわ!」
「じゃあいいだろ」
「…んだよ、気味悪ぃ」
「はぁ?」
「なあ…、俺が話聞くけど?」
「……は?」
立ちながら話していた緒方は急に心咲の隣に腰を落とすと顔を除き混んできた
「なんだよ…」
あまりのことに固まってると言葉を挟まれる
「だってお前が…変なこと言うから」
「俺だってねぇそれくらいできるの!阿久津先生にも頼まれてるし」
顔を逸らすと頬をほんのり赤くさせながら話す緒方
「悪かった…」
「なに」
「阿久津先生のこと…」
小さく呟くと少し目を見開いて眉間に皺を寄せる緒方
「謝らないでくれる?許すってきめたんだから…」
「え」
「事情はどうであれ見舞いに来てくれたアンタに罵声飛ばして帰したの怒られて…」
「けどあれはっ」
「確かにアンタのこと苦手だけど…俺だって子供じゃねんだから割りきったりはできるの、ごめん…」
真剣に見つめる緒方の瞳に逸らすことの出来ない強さを感じる
そんな緒方に言葉を失い俯く
心咲からしてみれば十分子供と呼べる類いに入る緒方の真剣な顔、いつもアホみたいに笑う緒方からは想像も出来ない表情だった
「お前こそ、謝るのはお門違いだぜ」
「っ…類がアンタがいいって言った理由が少しは分かった」
「は?なんだそれ」
「教えねぇよ秘密なんだから」
さっきまでの顔が嘘のようにいつもの緒方に戻る
「あ、そう言えば今日…阿久津先生退院するんだ」
「そうなのか…」
「アンタも来てよね」
「え、なんで」
「っ!言わせんなよそんなん!」
「な、なんで怒られなきゃなんねぇんだ!」
分からないことを分からないといい何故か怒られた心咲は眉間に皺を寄せると緒方を睨んだ
「お!出た出た」
「何…!」
「やっと元に戻ったって言ってんの」
「っ!馬鹿か…」
「アンタがそんなんだと俺が凄く困るの!悄気てんなよダセェ」
「…なんだ、それで励ましたつもりかよ」
「っ人が折角…」
「分かってる分かってるって…サンキュ」
軟らかく微笑むと思いの外緒方も優しい表情で微笑んだ
らしくない、と言われるものの今だけは悪い気にはならなかった
それもこれも全て相手の知れなかった部分が知れたからだと解釈する
するともう一度微笑んだ
「学校終わったら向かう」
「絶対だからな!」
「あぁ」
―――――――――
「類~」
「!…啓ちゃん」
二度目のチャイムが響く頃には緒方はクラスに向かっていた
すると途中廊下の壁にもたれ掛かる類を見つけ声をかける
「なんしてんの?こんなとこで」
「あぁ、授業終わるの待ってんだよ」
「授業?でも俺今会ってたぜ?」
「は?誰と?」
「いや、だからあのいんけ…日向先生と…」
「馬鹿…俺が待ってんのは…」
「西園寺さんっ」
「!?」
ガラッと扉を開け顔を覗かせたのは麻井だった
「待った?」
「いいや待ってないよ」
理解の出来ない現状に緒方はただただ見ているだけしか出来なかった
だって、類は陰険教師と付き合ってて……
麻井は類の同中やった奴で、類とあん人との中を壊そうとしてる首謀者…
阿久津先生に怪我させた奴なのに…
なんで、なんで…
「……んで」
一緒にいるんだよ、おかしいだろ
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