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隙を魅せて。47
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「完璧だ!」
台所、皿に盛り付けたオムライスを仁王立ちで見下ろす
「ふんわりだし、焼き加減も最高だろ!盛り付けだって抜かりなく良い!」
自身の作ったオムライスで今までで一番よい出来に心から感動に浸る
「…」
やばい、冷静になったら大声で何言ってんだろ…恥ずかしい
別にアイツが食いたいっつったから作ったまでで、完成度は自己満足に過ぎない!
なのに、少し喜ぶかもって期待もありながら作ったりして…なにしてんだいい年してッッ
ピーンポーン…
「!」
か、帰ってきた!
大人の対応をしなければ…
お、大人の、対応をっ!!
ガチャ
「おかえりっ」
「…」
啓ちゃんに返してもらった鍵が右ポケットに入ってるのを確認しながら先に来ているであろう心咲さんが出てくるのを待とうと思いインターフォンを鳴らした
すると数秒の短い間の後に廊下を駆けるスリッパの足音が聞こえ出す
…のも束の間、玄関の扉が開かれた瞬間に心咲さんは爽やかさが逆に怖い程にも感じる笑みで“おかえり”と告げた
あまりの衝撃に声を出すのを忘れていた
「ただいま」
と、取り合えず返す。
「いい匂い…」
「あ、あぁもう出来てるぜ」
「オムライス?」
「オムライス」
「ありがとう」
「べ、別にお前のためのオムライスじゃねぇッッ」
嬉しさで靴を脱ぎながら微笑むと何かの少女漫画の台詞でも聞いているかのようなセリフを口にする心咲に今度は可笑しさに笑ってしまう
「で?」
「は?」
「“おかえり”のオプションしか付いてこないの?」
「なんだよそれ」
「知らない?ご飯にする?お風呂にする、それとも…って心咲さん?」
「うっせぇ誰が言うか!」
「恋人なら当然だろ」
「はぁ?恋人ぉ!?確かにお前のこと嫌いじゃないし…や、やることしたけど…それとこれは違うだろ!!」
驚いた。
こんな新妻まんまの格好して、嫌いじゃないつって…てか恋人だろどう見ても
「…へぇ」
「な、何」
「怒った」
「は?ちょっおい!」
強引に寝室まで引っ張ると軽々と心咲をベッドに放り投げる
「ッ!」
「…」
「なにすん…」
「…」
「類?」
抵抗しようと押さえ付けられた腕に力を込めるもののそのから何もしてこない類に心咲は抵抗をやめた
「やっぱお腹すいたわ」
「は?」
心咲の腕から手を離すとお腹を擦りながら空腹だと訴える類を見つめがら無言で起き上がる
「…もう準備出来てるし、冷める前に食ってくれよな」
「あぁ」
おかしい。
されなくて嬉しい、けど…あそこで止められたことないし、本当に腹が減ってるだけなのか…
いつものアイツなら俺の制止の声なんてお構いなしで次々脱がせていくのに…
そのあと普通に力作オムライスをペロッと食べあげた類は今風呂。
「昼間馬鹿みたいに乗ってたのは俺なのに、まだ足りないのか?欲求不満か?」
でなければこんな…こんな気持ちになるなんて
なんで…
止めたんだよ…。
ガチャ
「類!」
「何」
「…キスしたい」
「…なんで」
「したいから」
「誘ってんの?」
タオルで髪を拭きながら現れた類に近付き、背伸びをする
「そう」
「…悪いけど少し逆上せた、今はしたくない」
「じゃあ落ち着いてからでも」
「…今日は、先寝るから」
「ちょ、類!待てよ」
坦々と話を進める類に置いてかれそうになり咄嗟に両手でガッチリと類の腕を掴む
「心咲さんっ」
「ばかッ」
「ん…ちょ」
そのままドアに目一杯押し付けると強引にキスをする
慣れない触れるだけのキス
「心咲さ…」
「なんだよ、今はやけにヤりたくないんだな」
「…」
「黙ってないでなんとか言えよ」
「もし、本当にその通りなら離してくれんの?」
焦るような上擦った声で視線を背ける類にもう一度触れるだけのキスをした
「…離さない、それなら最初からそう言えばいい話だろ」
「心咲さんはシたいの?」
「シてぇよ、誰のせいだと思ってんだ」
「俺、か…心咲さん」
「なんだよ」
「今は止めよ、出来ないんだ」
「どういうことだよ、意味が分からない」
何かを隠している類のはっきりしない態度に段々当たりがキツくなる
「…心咲さん」
「なに…」
「……」
皆目検討もつかないと言った顔の心咲は突然肩に凭れ掛かる類に反応できず、しかし声を上げる前にあることに気付く
「お前…熱あんじゃねぇか?」
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