アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
隙を魅せて。49
-
―――――――――――…
「ん…」
今、何時だ?
真っ暗な中で薄く光る淡い色が視界に触れる
確か、類の看病してて…それから
「!!」
見慣れない天井に驚き飛び起きる
だが辺りを見渡してみると類の部屋だった
そしてある一点の疑問に辿り着く
「類は、どこだよ…なんで俺、あいつのベッドで寝てんだ」
ベッドサイドに置いてあった時計を確認すると6時少し過ぎ
「朝…」
生憎土曜日なのが幸いし、心咲自身今週こそは休もうと仕事をあまりもって帰っていない
ゆっくり出来る半面風邪を引いた類の姿を探しに寝室を静かに開ける
リビングに明かりが着いてる…
「類…?」
「! 起きたんだ」
「…っそんなことより!」
「熱は下がった、やっぱり寝てなかったりしたせいっぽい…」
「じゃなくて…なんで!」
「何?起きたらベッドに居てそれで困惑してんの?」
ズバリと当てられみるみるうちに頬が赤くなる心咲は心配していた自分に馬鹿らしくなる
「馬鹿!」
「そんな頭ごなしに怒んなよ」
「怒るに決まってんだろ!病人に担がれて病人のベッドで気付いたら寝てるなんて!自分を労れよ」
「労れって、アンタだって平気でベッドサイドに寝てたくせに…アンタが風邪引いたらもともこもないだろ」
水掛け論になりつつある会話も類の発言に心咲は押し黙る
「ひ、引いてなかったかもしんねぇだろ…」
「言っただろ?元々体温高ぇの…なんともねぇよ、たく」
馬鹿はどっちだ、とボヤく類は悩ましげに頭を掻く
「兎に角、俺も体調万全だし心咲さんだって移ってないんだろ?」
「あぁ」
「なら良いじゃんか」
上手く言いくるめられた気がするものの口を尖らせるだけで言葉にはしなかった
「それより、今日なんか予定あんの?」
「別に何もない、けど」
「出掛ける?」
「え…」
「デートの誘い、最近あんまり一緒に居れなかったし…どっか行かない?」
「…お前、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫」
「無理は駄目だからな」
「ん、分かってる」
嬉しそうに微笑む類を直視出来ずに顔を逸らした
そして柔らかく抱き締める類の腕の温もりに安堵し目を瞑る
「じゃあ昼くらいまでまた寝る?」
「…」
類の問い掛けに無言で背に回した腕に力を籠める
心咲の言いたいことに気付いたのか類はクスッと笑う
「もう少し…このままで、な」
「類…」
「ん?」
「…」
「なんだよ、心咲さん?」
「…温かくて心地いいと思って」
「っとに、分かってやってんだったら怒るぜ」
「怒んねぇだろ、お前は」
「怒った」
「る、ん…っぁ」
「んぅ、ふ」
「まだ朝…」
「分かってる、夜まで我満してんだよ」
今すぐにでも襲いかかりそうな類をじっと見つめると包みこまれている温かさに心拍数が上がるのが分かる
「今度は二人で寝ような?」
「離さねぇから安心しろよ」
「馬鹿、それじゃ寝にくいだろ」
「でも嫌じゃないんだろ?」
「っ、そんなこと」
「嘘、離さないでって顔に書いてんぜ」
そんなこと絶対にない、そう思っているのに赤面し心咲は類の肩口に顔を埋める
「勝手にしろ」
「了解」
心咲をギュッと力強く抱き締めると二人並んで寝室へ向かう
―――――――――――――
「いい天気だなぁ」
「デート日和だな」
「お前、外であんまそう言うこと言うなよっ」
「心配しなくても普通にしてれば何とも思われないぜ?」
「お前の発言に問題があるんだよ!」
「はいはいごめんなさい、先生ぇ」
「っだから!」
「ほら早く!行こーぜ」
「っ…」
太陽が暖かく身体に射し込み、その心地好さに心咲は背伸びをする
くだらないことでスタートする“デート”
平然を保てないのは類も同じなようで珍しく浮き足立っている
「そんなに急かすなよっ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
49 / 56