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保健室 by.真琴
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ガラッ
会長が俺をお姫様抱っこしたまま向かった先は、保健室。
「あの腐れチンコ…」
からっぽの保健室を眺めて、会長の第一声がそれだ。
この学校の保健医はサボってばかりで話にならない。
「ここ、座ってろ」
会長は、俺をそっとソファに下ろすと、冷凍庫へ向かった。
氷嚢を作ってくれるみたいだ。
「すみません、会長。ありがとうございます。」
「…いや、悪化されても困るからな」
背中しか見えない会長はどんな顔をしているのかわからないけど…
会長が素っ気ない気がして、ならなかった。
でも、保健室まで連れてきてもらったし…
氷嚢も作ってくれてる…
でも、さっきすぐ離れて行っちゃった…
いやいやでも!…最初抱き締めてくれた…
………てか、遠い存在なんだからここまでされるのが異常じゃん!!
「ほら、冷やせ」
会長は氷嚢を差し出す。
「すみません。ありがとうございます」
足首はびりびりというか、じくじくというか…とりあえず痛い…
「あ"っ…っだぁ…!!」
そっと氷嚢を当てたのに、かなり痛かった。
「大丈夫か!?」
会長はハンカチを取り出すと、濡らして足首に掛けてくれた。
「痛むか?」
「大丈夫です…すみません…」
気まずい…!!!!!!!
なにか、何か話さないと!
「会長、好きな人っていますか!?」
ふぁっ!?
こんな事聞いて俺馬鹿すぎだろ!
「すみません!答えられるわけないですよね!聞かなかったことにしてください!」
まさか…自分の口からそんな言葉が飛び出てくるとは思わないじゃん。
ほら、会長固まってる。
どうしよ…もっと気まずいじゃん。
サイアク…
「いる」
「え??」
「好きなやついるよ、俺。」
「へっ?えぇ…そうなんですか!やっぱり女の子ですか?あ、一駅南に行くと、平楼女子学ありますよね!あそこって、モデルさんとか女優さん志望の女の子が沢山通ってるらしいです!可愛い子いっぱいなんでしょうね!」
もう視界がグルグル回って、頭も変なところだけグルグル回転してる…
会長は男にしか興味ないって知ってるのに、女子が好きなのかとか聞いて馬鹿みたい。
「お前は、俺に女を好きでいて欲しいんだな。」
「えっ…!」
「病院まで送るぞ。お前の荷物取ってくるから待ってろ。」
『女を好きでいてほしいんだな』
そう言った会長の顔は、寂しそうな笑顔が張り付いていた。
「会長…」
…どうしよ…
怒らせちゃったかも…
もうやだなぁ…俺…鈍臭くて…
会長のこと好きなのに…。
大好きなのに…。
「誰かいんのか」
保健室に入ってきたのは会長…
ではなく、赤髪の少年。
彼は、保健室の中に俺がいると知った途端、ツカツカと寄ってきた。
「っ!お前、さっきは良くも!」
さっき??んー…さっき…さっき??
会ったのかな?何か怒ってるし。とりあえず謝っとこ。
「すみませんでした。」
こんなやつとのイザコザより、会長との仲直りの仕方をだな…
「は!?いや、今更謝られても困るし!てか何のことで俺が怒ってんのか、わかってなくね!?俺のこと覚えてねーだろ!?」
「…?」
うるさいという印象しか残らないな、この子。
「デスヨネー」
赤髪は俺の隣に座る。
「あるぇ?あるぇあるぇ??蓮君足お怪我しちゃってたんだ?大丈夫??痛い?あ…そうだ…優しいこの俺が、痛い時のおまじないしてあげるわ」
そういうと、ソファから立ちあがり、俺の怪我してる部分をツンっと突いた。
「ぅあ"っ!!」
痛いわっ!!
赤髪はしつこく突いてくる。
「やめっ、ろっ、あ、やだっんんっ!!」
口閉じる大作戦を決行。
いや、痛いもんは痛いわ。
「ここをーこうしてー」
ツンッ
「ぅうっ…いっ…た…!!」
「痛いよなぁ?けどよ、優等生ぶってんのがわりーんだよ。」
ドッ
見下しながら、怪我した部分を殴ってくる。
「ぐっっ!!」
「れーんくん?ごめんなさーいは?ゆーとーせーぶってデカイ口叩いてごめんなさーいってさ。ほら、しろよ。なあ。」
ゴッ!
「っうあ"ああああぁぁぁっ!!」
涙で視界が滲み、痛さで目が眩んだ。
足首取れる…
「ははははっ!!!ウケるわぁーさっきまでデカイ口叩いて人に命令してたのになぁ?足首ツンツンしただけで痛がるなんてな。」
「蓮!!!」
涙でぼやけた視界に映ったのは、赤髪の奴の背後に立つ会長。
大声で俺の名を呼ぶ、会長の声が聞こえた。
ガタッ
会長は持っていた荷物を手から零し、俺の顔を覗き込んだ。
「蓮!!どうした、大丈夫か?痛むのか?」
痛さで何も考えられない。
いや、考えたくない。
「痛くねーよ、ぜーんぜん。せーとかいちょー様に心配されたいだけっしょ。」
「すまないが。今すぐに出て行ってくれないか?」
「あ?」
会長は、俺から離れて、赤髪の元へ行った。
何か話しているのだろうか?
俺の耳には聞こえないけど。
「チッ…」
赤髪が舌打ちして忌々しい目で俺を睨み、大人しく保健室から出て行ったのはわかるが、
「今すぐ病院行くぞ。」
またお姫様抱っこ…
でも、会長がちゃんと帰ってきてくれた。
「ううぅぅ…ぐすっ、」
「怖かったよな…すまなかった…」
『謝らないで、会長のせいじゃないよ。』
そう言いたかったけど、涙と嗚咽で話せない。
俺の心と共に、足首の怪我もドクドクと傷んだ。
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