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第8話
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「ただいま…」
今日は、学校に残らず、すぐに下校してきた。
彼の友人から借りた体育着を両親にバレぬよう洗濯しようと思い、早く帰ってきたのだ。
「おっかえりぃ。亮太」
姉が、帰ってきていた。
「帰ってたんだ、姉さん」
「ちょっと色々あってねー。てか、何その荷物。部活やってたっけ?」
姉は話を逸らすと、僕の腕の中にある袋を指差した。
「あ…今日、体育やって…体育着借りたから洗おうと思って…」
「え?体育?させてもらえてるわけ?」
姉は不思議そうに首を傾げる。
「あ…勝手に僕が受けただけ…ほんとは、禁止されてる…」
「ふーん…。てかあんたさ、彼女とかつくんないわけ?」
「へ……?………え!?彼女!?」
「そ。彼女。」
「僕なんかにっ、できるわけないよ………それに、興味ないし…」
自然と顔が下を向く。
「ほんとに?何か隠してんじゃないのー?」
「いや、そんなことな…いよ?」
「いやいや、姉さんに話して御覧なさいよ」
姉は体育着を洗濯機に放り、洗剤と柔軟剤を入れ、起動させる。
振り返った姉は笑顔で僕の手を引き、自室へと連れ込んだ。
「観念なさい。我が弟よ。誰が好きなの?言ってみ!」
姉は偉そうに仁王立ちし、僕に問う。
「好きかどうかは…わかんない…」
「あ、まずそこからか…うーん…。じゃあ、その子と手を繋ぎたいって思う?ぎゅーしたいなーとか、ちゅーしたいなーとかは?」
「手…うん、多分思う…でも、ち、ちゅ、ちゅーはわかんないよ…っ」
顔が熱い。慌てて下を向くが顔の火照りは収まらない。
「ああもうっ!真っ赤になって純粋すぎか!これが今時の高三男子なのか!」
「ね、姉さん…僕、好き……なのかな…」
そしたら、僕…男の人が好きってこと?
「うーん…それで好きって断定するのは難しいな…ちゅーしたいって思うなら話は別だけど。あ!一つ聞き忘れ!」
「ん?何?」
「その子とエッチしたいと思う?」
「へっ?」
え、ええええ?エッチ!?
したいと思うかよりも、男同士でなんて無理に決まってる…!
「わ、わかんない…」
「んーっ…要するに、ただの憧れの存在…的な?」
「憧れ…」
その言葉にピンときた。
「姉さん、ありがと。僕、彼に憧れてるのかもしれない。」
「どういたしまして。そっかぁ…亮太はその彼に……彼?彼!?」
「うん、彼…だよ?」
「え、え、相手…女の子じゃないの?」
「男の子…だよ?」
「ああ…」
しばらく続く沈黙。
余計なことを言ってしまったのかもしれない。
「…男なら話が別じゃない!亮太のその思いは恋の可能性が高いわ。まあ、恋には色々あるからね。私は偏見とかしないよ。亮太が実らせたい恋なら、頑張って。応援するから。」
姉は、見たこともない真剣な顔で僕を見つめてきた。
「ありがと、姉さん。がんばるよ」
「うん。その意気よ。あ!また買ってきちゃったんだよねー」
そう言って姉が出したのは制汗剤。
僕が彼にあげたやつだ。
「そろそろ無くなったかなーと思って!亮太も男の子だからね。匂いとか気にする年かなって。」
「ありがと、姉さん」
姉は嬉しそうにスキップして洗濯機を覗きに行った。
「実らせたい恋かぁ…」
目を瞑ると彼の顔がすぐ浮かぶ。
恋なのかなぁ…
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