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第13話
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あの後は、彼が飽きるまで勉強して、その後テレビゲームをした。初めてだったけど、全部優しく教えてくれて、対戦では彼に勝てるようにまでなった。
それと、僕を家まで送ってくれた。
彼はとっても優しいんだと改めて思った。
楽しかったな…。また遊びたい。
友達の家に行くということさえも許してもらえなかったから…。
「りょーった!」
「わわっ…」
学校に着くなり、抱き着かれる。
彼の香りに包まれて、昨日のキスを思い出す。
は、初めての…キスだった…。
「昨日はありがとな!超楽しかった!」
「ぼ、僕もだよ!ゲーム、初めてだったけど、面白かった…!また、やりたいな…」
「また来いよ!いつでもいい!」
「ほんと?嬉しいな」
「おう!」
「ありがと。あ…僕、先生に呼ばれてたんだ。職員室行ってくるね」
「おう、行ってら!」
彼が手を振ってくれる。僕はそれに振り返すと、職員室へ向かう。
…その途中だった。
「うーざ…」
横からボソッと聞こえた。
「学武は優しいからゆーとーせーに構ってあげてるだけだろ」
「だな。あんな、人を見下す奴の傍になんて、好んでいるわけねーだろ。」
「二人で遊んだのかなぁ…羨ましいな」
僕の悪口だ…。
彼等は僕に聞こえるように話している。
学武が僕といるようになって、つまらないのだろう。
でも、喧嘩も何もできない僕が言い返した所で、彼等が怒って僕を殴ったりでもしたら、処分されてしまう。普通は停学くらいだけど…彼等は前科があるからひょっとしたら退学に…。
それだけは避けよう。
僕は、止めた足をまた進めようとした。その時だった。
「俺が優しいイケメンだからって、ただの優等生と一緒に居ると思う?」
え…
「ま、学武!?今の聞いて…っ」
彼等もかなり驚いている。
「困るんだよな、こういうの。亮太は弱いから言い返せねぇんじゃなくて、優しいから言い返さねぇんだよ。」
「いやっ、俺たちは…」
「言い訳?ああ、そうか…俺が怒ってるのわかんねぇか…。俺な、大好きな恋人がクソ悪く言われて、腹立って仕方ねぇんだよ。」
「っ、学武…」
学武は、見た事もない顔をしていた。
すごく、怒ってる顔…。
僕のために、そんな顔をしてくれるの?
「っ、逃げるぞ!」
彼等はパタパタと駆けていく。
「待て!…ッ!」
追いかけようとした彼を、僕が止める。
「亮太…」
彼からは先程の剣幕が無くなり、つらそうな顔に変わった。
「亮太っ!」
彼に包まれる。
ぎゅっとしっかり包まれる。
「傷つけちまった…ごめん…」
「ううん…。僕、嬉しい。大好きって…恋人って言ってくれたのも、言い返してくれたのも、僕の代わりに怒ってくれたのも。すごく、嬉しいよ。」
「亮太…」
「ありがとうね、学武。」
今度は僕から、ぎゅっとしてあげた。
「あ、亮太…」
ふと、身体を離される。
「俺と、付き合ってください。」
代わりに、手を差し出された。
「もちろん。よろしくお願いします。」
僕は笑顔でその手を握った。
「さっき、恋人って言ったのに、今更じゃない?」
「あ、そっか!いや、でも、ちゃんと告って置かなきゃって。」
「真面目だね」
「俺は真面目だ!勉強できねぇだけで…」
「その分バスケ上手だもんね」
「わかってんじゃねぇか!さすが俺の嫁っ!」
「まだ結婚してないよ!」
手を繋いで、職員室に向かう。
僕の左側は、僕と同じ匂い…
ほんのりと甘い、シトラスの匂いがする。
「俺の右手…手汗でベタベタだ……。ごめんな、亮太」
「大丈夫…僕もだから…」
-END-
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