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白い部屋とココア。
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「……、ん"ーーっ、!!甘っ!!」
俺は久々に飲んだそのホットココアにそう声を漏らした。
そんな俺を都は相変わらず無視して、ズズー…とココアをちょこちょこと飲む。
なんか都が飲んでるのを見てつい俺も飲んでみたくなってコーヒーを止めたけど、……ココアってこんな甘かったっけ…、。
コーヒーに関しては砂糖多めが好きだけど、このチョコレート的甘さには慣れない。
……、よく子供の頃こんなんが飲めてたよな…。。
……と思うが、都は普通に飲んでるから、こいつはかなりの甘党だとみた。
……でも、このココアの匂いというのはなかなか良いものだ。
懐かしさを感じるこの甘い香り。
匂いに温もりを感じることができるなんて、新たな発見だった。
、もしかして、保健室側もそれを見越して沢山飲み物を用意してあったのかもしれない。
やっぱりなんでも利用してみなきゃわかんねえなぁ〜……。
そんなことを漠然と思いながら、チラッと都の方に視線を向けると、なんだか怪訝そうな顔で自分のマグカップを持つ手を凝視していることに気がついた。
、そこには俺がさっき手当てした包帯の巻かれた二つの手首。
…やはりあんだけ縄できつく縛られていた為に手首のその締め付けられた跡は時間を増すごとにくっきりと分かるような跡になってしまっていて、俺はそれを隠すように薬を塗って綺麗に包帯を巻いておいたのだ。
もしかすると都にとってはなんのことなのかがよくわからないのかもしれない。
まだ起きたばっかで頭もちゃんと働いてねえだろうし……。
「…、一応いっておくけど、お前相当汚れてたり怪我してたりで大変だったから、一通り俺がさっきシャワー入れて手当てはしておいたから。」
俺は甘いココアを飲みながらサラッとそういった。
一応、な。
すると、今まで無反応だった都が俺の方を驚いたような顔で見てそして、ペタペタと自分の顔や身体を触りだした。そして、その身体に無数の絆創膏が付けられていることにまた驚く。
その度にサラッサラの柔らかい髪の毛が揺れた。
…なんつーか……驚いている姿まで全部絵になるな…
よくよく考えればこの白い部屋に、そしてこの甘い匂いに、…全てがこいつの雰囲気と合っていた。
どこか儚くて切なくて消えてしまいそうで、…でもそれがとても美しい。
そう考え出したら、本能的に写真を撮りたくて撮りたくて仕方ない欲望に駆られる。
ーー…でも今撮って都を怖がらせるわけにもいかず……、俺は必死でその衝動をおさえる。
思わず自分にカメラに対しての理性があったことに驚いた。
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