アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
白い部屋とココア。
-
「…えー、と…酒井さん、……岡部さん……って、?」
さも当たり前かのようにいう酒井さんにそう聞くと、
「ああ、君は知らなかったか」と説明をしてくれた。
「岡部さんというのは、都くんのお父様の助手兼、家のお手伝さんでね、なにかあるとよくお世話になっているんだよ、」
ははっと少し笑いながらそういう酒井さんに、俺の頭にはまたはてなマークが浮かび上がる。
え、は…助手、…?、お手伝い、…?
……つーか、お父様、?
「…、え、こいつにお手伝いがついてるんすか、?!」
「、ん、?…あぁ、別にミヤくん専用のッて言うわけではないけど、まぁ、……色々とあるんでね、」
酒井さんは俺にそう言って説明する、が
「…教授、すいません、そろそろ行かれないと……」
助手がそう酒井さんを急かすようにいう。
「…あぁ、!そうだった、!……それじゃあ、逢坂くん、ミヤくん、私は失礼するよ、。……後のことは頼みました、。」
「え、…あ、、はい。……ありがとございます、お気をつけて、。」
俺はそう言って保健室のドアの前で軽く会釈する教授に戸惑いながら深くお辞儀をした。
ガララーーー……
今の今まで人の声であふれていたその部屋にドアの開閉音が響く。
そしてまたシーンとした空気に俺たちは包まれた。
窓の外を見るともう外は暗くなっていたことにきづく。
……つーか、……教授途中で行っちゃったからあれだけど……、俺全然スッキリしてねえんだけど…。
シャーーーっとその部屋の白いカーテンを閉めながら俺は頭を悩ませた。
そしてチラッとベッドに座る奴を見る。
またどこでもないどこかを見つめたままボーっとするそいつ。
……、よくわかんねぇけど……謎が多すぎる、…。
ーーーーーーー、そんなことを考えているとあっという間のうちにその"岡部さん"という人が来て都を連れて帰ってしまった。
岡部さんは60くらいの言って見ればおじいさんで、とても人柄の良さそうな人で何回も俺にお礼を言っていた。
そして本当にお手伝いさんらしく都のことを"ぼっちゃん'と呼んでいた。
……まぁ、俺にしてはそのことに結構驚いたんだけど…、、。
でも当の本人は全く顔を変えずその岡部さんについて保健室を出て行ってしまったのだった。
呆気なく一人にこの部屋に残された俺。
…………なんつーか、……俺だけ何も知らない、というのを思い知らされた。
「…………、はぁぁ……」
俺はその一人になった白い部屋に大きな溜息をつきながらまた蹲る。
……なんだか今日は、初めて知ることが多すぎた。
それは、物理的な事だったり、…すごく内的な感情だったり、。
それにそれが全てはっきりと分からずにグルグルと自分の中で回っている。
分かっている事は、俺が都についてまだ何も知らないということだけだ。
そりゃ、あって間もないから当たり前の事なんだろうけど、…。
まぁいいや、これから何ヶ月かここに通うんだから、嫌でもわかってくる事はあるだろう、……
しかし、都が岡部さんに体を支えられ連れられて保健室を出て行った時、都が微かながらにも俺に向かって小さく会釈してくれた。
…まぁ、それは俺が助けた事とか、手当てした事とか、教授に嘘ついた事へのものなんだろうけど、、……でも、あの都が自分から俺にアクションをとってくれたのがすごく嬉しかった。
それにしても、なんだろうこの感じ。
今まで本当に感じた事のないモヤモヤ、。
「………はぁぁぁぁぁ、、、」
俺はその感情が"他人への興味の一歩"だとは一切気づかずにもう一度大きな溜息をついたのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
39 / 130