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優越感の理由
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誰かに共感したり、誰かを仲間だなんて、今まで思った事も……、いや、思いたくもなかったけど、何故だか都には直感的に何かを感じている自分がいる。
…自分が一番コンプレックスに思っている事が共通点だからだろうか、。
まぁ、そんな事はどうでも良いけど、なんにしろ、あんまり良い事ではないような気がする。うん、絶対。
「あいつって、……あんなんでちゃんと生きてけてるんですか、?」
こんな事、都本人でも親でもない酒井さんに聞いても答えられるはずないと甚だわかっていた。……、でも、なぜか漠然的に都の事を心配に思っている自分がいるのにはずっと前から気づいていた。
「う〜ん、……そう言われてもね、ぇ……?……僕には彼の事はわからないよ、」
案の定酒井さんの口がそう動く。
「……、……今生きてるんだから、今までは大丈夫だったのは分かるんすけど、……あいつ将来とか決まってるんですかね、?何になるつもりなんですかね、?
……つーか、なにかしら考えてねえとこんな難関大学にわざわざ受験して入ったりなんてしませんよね、?!」
つい言葉にしてみるとボロボロと堰を切ったように疑問の言葉が口から出る。
「……はは、っ……逢坂くん急にどうしたの、?笑もっとゆっくり喋りなよ、笑」
酒井さんにもそう笑われてしまった。
「……、あぁ、すいません、。……、でも、話戻りますけど、……理系を選んで、ちゃんと教授のいる研究室に入ってるって事は将来研究をしたいっていう事なんですよね、多分」
ふと話しながらそんな事を考える。
……そりゃそうだろう。、何も考えないでこんな専門的な研究室に入るやつがいるのだろうか、いや、普通だったらありえない。
だから、都が今この大学にいてこの研究室にいるっていう事だけが多分都の一番都に近い部分の証明にちがいない、……と思ったのだが、……
、酒井さんの口から出た言葉はまたも予想外な言葉で
「……うん、?……いや、別にミヤくん研究がしたいわけじゃないと思う……よ?」
俺の方を向かずにはははと笑いながら教授はそう乾いたように言った。
「……へ、?」
え、なに…違うって、……どういう、……
「……え、だって、こんな専門的な研究室なんて自分の意思が無けりゃ入りませんよね、?」
わけがわからず、そう焦る俺。
「……あー、うん、。?はは、……普通だったらね、、?……でも、……うん、。さっきから何回も言ってるけど、ミヤくんは違うんだ、多分。」
なんだかそんな事を言う酒井さんは終始笑いながら首を傾げた様子で、どうやら酒井さんも不確かなまま話しているようだった。
よくよく考えたら俺も、それから酒井さんも、さっきから"多分"を多用しすぎてる気がする、……
……まぁ、それは都がそんだけ自分について話さないって事なんだろうけど、……
「……え、あの、……俺あんまり日本の大学とか大学院の事全然わかんないんすけど、…でも、院生とかって、自分の書いた論文とか、したい研究とかでちゃんと選ばなきゃ院にまで上がれませんよね、?」
……全く日本の大学制度については無知だが、それくらいは常識としてわかる。
……だって院に上がるのに多分試験ないしそれなりの論文の評価とかは必要だろう、……
「……ああ、もちろんミヤくんの論文も見させてもらったし、成績も試験もなんの不自由なく合格だったけど……、でもミヤくん基本的に器用だからさ、なんでも卒なくこなしちゃうんだよね、」
「……」
「だからこの研究室にだってサラっと入れる、…むしろミヤくんくらいの能力ならどこにでもいけるよ、。……他の教授からは海外留学も勧められてたみたいだしね、」
「……、っ、でもそんなたくさんの選択肢の中でここを選んだって事は、あいつの意思だってことですよね、?!」
……なんだか、ここまでくると意地にもなってくる。
……というか、自分の進路にさえ自分自身の意思が入っていないなんて、怖すぎる、。
だからむしろそうであってほしいという俺の願いでもあった。
しかし、そんな俺の強い願いというか、熱さが伝わったのか、酒井さんは俺のその必死な言葉を聞くとはははっ!!と声をあげて笑った。そして、
「……ははっ、……なんか今日はさっきから熱いね、!。んー……君の熱意にそう言いたいところなんだけど、……、……実を言うとね、私はミヤくんのお父様と昔から交友があってね、。」
そんなことをサラッといって酒井さんはいつもよりも寂しげに眉を下げた。
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