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優越感の理由
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……、こんな理系の研究室にいる奴の親が哲学者って、……なんか、…………、。
……いや、まてまて、!!自分は自分だって、今まで思ってきたじゃねえか、!!
親が哲学者だからってその子供もその道に進むなんてそんなことねえよな、!!
つーーーか、大体なんでそんな人と酒井さんは交友があんだよ、、!!!
問題はそこからだろ、!!!
…………、……というか、俺、今まで都の進路の話してなかったっけ、……?
なんで、都の親の話になって、……、あれ、……、酒井さんが都の親と知り合いだって、……それで、…………って親と知り合いでも普通進路と関係ねえよな………………って、もしかして、……
「……………もしかして、……都ってコネ入学っすか、、?」
今度はさっきよりも神妙な顔つきでそして小声で酒井教授にそういう俺。
然しなぜかまたさっきのような声をあげてまた酒井教授が笑い出した。
「…………はははっ、!……なんか頭ですっごい考えてるなぁって思ったら、、笑。……ミヤくんがそんな訳ないじゃん、ー〜!!」
「…………そんな訳ないじゃんー〜って、じゃあなんで、親の話しだしたんすか!!!!」
「……、それはミヤくんがこの大学に入ったのと関係あるから……」
「…………じゃあ、やっぱりコネにゅうがk…
「、あーー!!違うって!!!!………ちょっと冗談でもそういうこと口にするのやめてよ……。…さっきも言ったようにミヤくんはトップ入学なんだよ?…そんな手段じゃなくても堂々と入学できますー!」
コネという俺の発言に少し怒ったのか酒井さんは笑うのをやめて今度は真面目にそういった。
「…………じゃぁ、なんで、……」
「………、んー……とね、私は森先生と結構前から仲良くしてもらっててね、……それはもうミヤくんが生まれるよりもっと前から、……まぁ、ミヤくんが生まれてからもミヤくん自身とは1、2回くらいしからあったことなかったけど、……。でもあの頃からミヤくんは天使みたいでさー……」
そう話す酒井さんの顔はなんかデレデレとした顔で、酒井さんこそさっきから百面相じゃねえか!!!という感じにうっとりとして話し続ける。
「……ほんとうに森先生も奥さんも、すごく良い方で……みるからに理想的な家庭だったんだけどね、……ミヤくんが小学生の時に奥さんが亡くなって、……」
「……え、、……?」
突然のその驚きの言葉に、今まで外していた目線を酒井さんに戻すとさっきのうっとりした顔の中にゾッとするくらいの悲しみが浮かび上がっていた。
……え、……亡くなった……って……?
、不覚にもまた自分と重ねてしまう。
今回もまた負の共通点だけど。
「……森先生は誰もが認める愛妻家だったから、それはもう大変だったと思うけど、……でも、相変わらず森先生は森先生で、素敵な方で……。お手伝いの岡部さんの力もあってここまでミヤくんを男手で育てて……」
「……」
「……、まぁ、……それもあってミヤくんは凄く大事〜に育てられた言ってみれば箱入りな訳で、。でも、ミヤくんは見ての通り一切自分を出そうとは思わないでしょ、……?、それで先生は私に相談してくれたんだ、」
…………、なるほど、……
思い出すように、一つ一つ言葉に気をつけならがゆっくり話す酒井さんに、俺もそのスピードを受けるかのようにゆっくりとうなづいた。
なんだか、聞いただけだけど情景が浮かぶ、。……大切な奥さんが亡くなって、 人一倍愛情を注いで大切に都を育てて、……。
……あぁ、なんだか自分の昔をおもいだしてしまう、……
俺も父さんが死んで母さん側に引き取られて、…んで母さんは母さんなりにすげえ気を使ってきたのを鮮明に覚えている。
わざわざ気にしてもいないのに引っ越して田舎の中学に通わされて、…、弁当も頼んだ訳でもないのに毎日しっかり作ってくれて、…。
、俺はその母さんからの必要以上の愛情を重たく感じていたりもした。
……まぁ都がどうだかは知らねえけど、。
……まぁでもあの時は餓鬼だったからそう思ってたけど今思えば母さんや都の父さんの気持ちもわからなくもないかも。
一人で子供を育てるのって、……たぶん想像以上にプレッシャーとか責任とかのしかかるんだろう、……
でもやっぱり子供は子供で思い通りにはいかない。
俺は俺で母さんにも相談しないでアメリカ行ったし、都も都で、流れるままに流されて、自分自身はまるでない。
都の父さんはそれを心配して、大学は知り合いの酒井教授の元に頼んだって訳か。。
「…………あぁ……なんとなく、……わかったような気がします、……」
酒井さんの言葉を全て聴き終えて自分なりに解決して、静かにそういった。
「……お、わかってくれた、?……というか僕、会って間もない人にベラベラ喋りすぎかな、……?……っははっ、……でも、」
酒井さんはそう言いかけて言葉を止める。
「……でも、?」
「……、でも、逢坂くんなら話してもいい気がするんだ、。はっきりとした理由は分からないけど、……僕の中でも逢坂くんという存在の出現は色んなことを考えさせるきっかけをくれたし、ミヤくんにとっても今までにはないものを与えてくれるような気がするから、」
そういって酒井さんはニコッと笑った。
俺としてもその言葉の意味はよくわからなかった、。
、……でも、心なしになぜかそのなんの確証もない言葉を喜んでいる自分がいる。
都になにかを与えられるなんて考えもしていない。
ましてや今まで記憶に残るようなコミュニケーションもとれていなければ、笑顔さえ見たことがない。
、……でも、自分でも気がつかないうちに目で追っていたり、共通点を探していたり、それにこうやって都について教授に質問責めをしてしまっていたり、……。
もうこれで"都に興味なんてない"なんて言えない状況になってしまった、。
……人に興味を持つことができない俺が、……
…………ぁ、ぁあ、……なんだ、……なんだろうこの感じ、……、!!!
自覚した瞬間に胸がざわつくような一気に風が吹いたような感覚に陥る。
なんだか奥歯が震える。、。歯がゆい、。心臓の扉をノックされたかと思えば、ものすごい風が吹いて家ごと吹き飛ばされてしまったような、……
なにこれ、……こんな感情、……今まで感じたことなかった、…、、、!!!怖い、!!!
俺はそのあまりにも未知な感情に少し恐怖感を覚え、無意識に自分の左胸をぎゅっと押さえると、右手からはドクンドクン!と今まで感じたことのないような"生"が感じられた。
…俺は今どんななんだろう、……。
どんな顔をしてるんだろう、、心臓は何拍子で脈を打ってるんだろう。
、、あぁ、撮れるものなら今の俺の心臓の写真が撮りたい。
きっとすごい勢いで全身に血を送り出してるにちがいない。……いや、血なんてものはもう蒸発してしまっているかも、……なんてね。
…………って俺、ばっかみてえ、……!!。なにメルヘンになってんだろ、、、、……。
よくよく考えてみれば、人に興味を持った、ただそれだけのことなのに、
そういったん冷静になってみても答えが出ないほど頭の中をなにかが駆け巡っている。そう、得体の知れないなにかが。
そんな自分にふーーーーっと肺にある空気をいっぺんに吐き出して新しい空気と入れ替える。
はたから見ればただの深呼吸だけど俺にとってはそうじゃなかった。
肺胞にその新しい空気が沁み渡ってきた頃、なんだか最近の俺の憂鬱な気持ちも少し消されたような気がした。
ーーーー……そんな時だった、
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