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ミドリの手紙。
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「………ちわーす。」
「あ、逢坂さん、!お疲れ様です!」
日も落ちる夕方午後6時。
俺は機材の交換にまた研究室に寄っていた。
ここへ通うようになってからもう1ヶ月以上が経った。
もともと"帝大を撮る"という仕事で通ってる訳だが、……つーか"もともと"じゃねぇわ笑
その為"だけ"にに3日に1日のペースでわざわざここに通ってるだった、。そうそう笑。俺は仕事でここにきてるんだ。(再確認)
そういえば、もともとオンラインの月刊雑誌の特別連載ということで写真を撮りにきてるのだが、ついこの前第1回が出たらしく……学校内で写真を撮ってると結構話しかけられるようになった、。
……、個人的に自然な感じが撮りたくて、しかも話しかけられるのがあんまり得意じゃないからその件に関してはなんとも言えねぇけど、…ここの研究員達が前よりも気軽に話しかけてくれるようになったのは少し有難い。
実際前までは酒井教授がいない時に研究室に来たりすると、なんというか俺に怯えてるのかなんなのかしらねぇけど変にテンパって挨拶してきたり、変に静かになったり、とりあえずものすげぇ気まずくなったりして俺的にも居心地悪かったから、その点それがなくなったのは助かる。
……まぁ実際本格的な写真についての批評とかは誰からも聞いてないけど、……(別に聞きたくもない)
「…逢坂さんコーヒー飲まれますか??」
俺がガタガタ色々機材をいじくっていると気を利かせたのか、前の席のメガネの研究員が席を立ち上がりながら笑顔で俺には話しかけてくれた。
「…あ、別にそんな気を遣わなくても、」
「いいんですいいんです!逢坂さんにはお世話になってますから!逢坂さんはいつも砂糖多めですよね??」
「…ふふ、そーっす。ありがとう。」
「いえいえ!」
そう言ってニコニコしながらコーヒーを淹れてくれる研究員。
……なんつーか、……意外とみんなフレンドリーだったりするんだよな〜…。
理系の奴ってなんつーか取っ付きにくい感じするんだけど、……酒井さんを見ての通り意外とみんな仲良くなれば気さくだし、それにすごい礼儀正しい。
そんな事を思っていると「はい。どうぞ」と満面の笑みでメガネ君が熱々のコーヒーを俺に渡す。
「……そーいえば、……今日酒井さんは、?」
「……あ〜…教授は今日プロジェクトの会議で九州の方に……」
コーヒーのついでに少し聞いてみると意外な答えが……。
……プロジェクトで九州って、…。
……そういえば新プロジェクトがなんだかって初めて会った時からずっと言ってたよなぁ〜……
会議でそんなら遠くまで行くくらいだから、…結構でけぇプロジェクトなんだろう、…。
……あんな人柄だからすぐ忘れかけてしまうけど、酒井さんは相変わらず凄いお偉いさんなんだな、…。(再確認※2度目)
ズズッー……
「………お味どうですか、…?」
「……あ、うまいっす。」
「……よかった〜!」
……真面目か!!!
コーヒーを口にしながら心の中でツッコミを入れる。
……やっぱり、基本的にはくそ真面目だわ。
んなこと気にしなくて良いのに、べつに……。
ふぅ……
やっぱりそんな生真面目な研究員に少し息を吐いている時だった。
ガチャー…………
研究室の後ろのドアが開く。
そして
「あ、都さん、お疲れ様です、!」
そのドアに向かい研究室内からそんな声が飛ぶ。
…………あ、……。
俺もその方向に目を向けると、案の定いつも通りの奴とバッチリ目があった。
「………、おはよ、」
「…………。」
なぜかそんな都との視線の交わりに俺の方がテンパっておはようとか訳わからない挨拶をしてしまったが、都はそんな事は関係なくジーーと相変わらず数秒の間俺を見るとスッと何も言わずに自分の席へと行ってしまった。
………実を言うと都とはあれから結構色々と話す事が多くなっていた。
まぁ話すといっても俺が一方的にフェニックスの話したり、本貸したり、っていうそういう類の奴だけで、都からどーこーという事では全くないんだけど……。。
それでも周りが都とは一切コミュニケーションと言えるような行動とか行為とか会話とかしていない中で、都と他の人には分からないような次元の趣味があったり、たくさんの共通点を持っている俺は結構優越感があったりした。
実際の所すれ違ったら今まで無視だったのが、最近は本当に軽く会釈をしてくれるようになって内心すげぇ喜んでたんだけど、……
今日は無視されたかー……
なんつーか都の中で俺もちょっとは特別になったんじゃねえのかとか思い始めてたのがすげぇ恥ずかしい、……
俺もまだまだだな、…………
「…………はぁ……」
そんな少しの落胆にさっきとは違い本当にため息をつきもう一度コーヒーを啜る。
すると、
トタトタトターー……
ん、?
一つの足音が俺に近づき俺の前でピタッとまる。
そんなことに、俺はくいっと顔を上げると、
あれ、都だ、……
なぜかそこには紙袋を抱えた白衣姿の都が立っていた。
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