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ミドリの手紙。
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ガサガサガサー…っっバン!!
「…………っぅおッ、!」
「…………っ、」
急に都が勢いに任せて手に持っていた紙袋を俺に投げるように渡す。
あまりにもそれが荒すぎてなんなのかもわからず俺も変な声を上げてしまった。
「………っばか、お前な〜……!!!、もっと優しく渡せよ、…」
…はぁ、……無言かと思ったら急に思わぬ行動に出たりして、。
まぁ、渡してきてくれただけでもありがたいけど、…。
「……で、これは?」
そう聞きながら都の方にもう一度目を向ける。
すると、
「………………っ、、」
都が眉間にシワを寄せているのに口はもじもじと閉じそして何故が顔が赤いという今までには見たことないようなそんなよくわからない顔をしていて
「………………、っ、。?」
え、…怒ってんの…?恥ずかしがってるの?、……それともなんか言いたいのか…??
そんな都を見て俺まで少し変な顔になってしまった。
しかし、
そんな表情を浮かべていたのもたったの一瞬で、すぐに目を逸らし俯くとバッ……と方向転換をしてどこかへ行ってしまった。
そしてそのあとバタンー……っ!というドアの閉まる音が聞こえたから多分出てってしまったと思うんだけど、…………。
「…………………は、……?」
研究室内にまだよく状況を理解できず一人ポツーンと残される俺。
そんな俺に研究員達もまたちょっと前みたいな気まずい空気をかもちだす。
…………は、……何だったの、……へ、……??
……俺、……変なことしてねぇよな、…………??
あまりにも訳のわからない都の行動と、その一瞬で起こった出来事に頭の中が完璧にはてなマークだけで埋め尽くされる。
……つーか、……この紙袋は、…………
まだよくわからないまま都から渡された紙袋を開ける。
…………あ、…………本だ、。
紙袋の中に何冊かの本が見えガサガサと俺は急いでそれを取り出す。
するとそれは紛れもなく5冊の本で、ボロボロなくらい古い本もあったり、この前出たばっかりのような新刊らしきものもあったが、どちらにせよ全ての本に同じ日本人の著者名が書いてあった。
……これ、……読めって…こと、……か、…?
これまで都とは結構本の貸し借りをしていた。
それは俺がフェニックスやユリウスが好きなんだったらこれも好きだろう、と勝手に貸していただけだったが、……
ふと今自分が手に持つ本に目線を下ろす。
……これって、……都が俺に貸してくれたって事……だよな、……?
……うわーー……、、すげぇ、……。初めて都から本渡された、、、。。。
俺は否定しようのないその事実にまた無意識的に顔がにやける。
あいつから、、あいつの方から、……本を……。。
俺は結構普通に都に貸してたけど、自分の好きな本を他人に貸すって結構勇気のいる行為だと思う、。
だってもしちょっとでも相手がその本を気に入らなかったりしたら、なんつーか……少し自分のアイデンティティを否定されたような気分になるから、。
俺がバンバン都に普通に本を貸せてたのは、都とは結構趣味合うからこの本も好きだという絶対的な自信があった。
、それに、都は自分の感情出さないしそもそも喋らないから、もし趣味に合わなかったとしてもそれを表現してくれたらそれはそれでもいいと割り切っていたからであって、……
言葉も行動も、決して今まで自分から起こしてこなかった都が"誰かに本を貸す"という行為がどれだけハードルが高かったのだろう、……
だからあいつさっきすげぇ躊躇ってたし、……それにあの変な顔、……、、
「……ふふっ、」
俺はさっきの都の不可解な行動や顔を思い出して少し笑いを零した。
パラパラパラーー……
俺はその中から一番上にあった本を取り軽くページをめくってみる。
ペラペラと断片的に見える本の一文は、どうやら評論文のようなものではなく普通の小説のような文だった。
日本文学かー……
自分はどちらかといえばアメリカで生活してた時の方が本を読んでいたこともあり、今まで好きな作家はアメリカ文学とか海外のものの方が多かった為、あまり日本文学作品は読んだことがなかった。
いや、別に毛嫌いしてたとかそういう訳ではないんだけど、ただ読む機会がなかったのだ。
でも、都がこうして勧めてくるって事は、……相当良いんだろうな、、、
ああ!!早く読みたい!!
良さげな本にであうとどうしてもその読みたい衝動に駆られてどうしようもなくなる。
……よし、帰ったら早速読もう。
心の中でそう決めてもう一度本を紙袋の中に戻そうとした時だった。
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