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蜂の死骸と不死身の言葉。
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「………………っい"……、ッッ!!!!!!」
隣にいた都が急にそんな声にならないような声をあげる。
それもそのはずだ、。
だって、都がなんの躊躇もなくそのもがきまわる蜂を手ですくい上げたのだから。
「……っお前アホか!!!!!、なにしてんだ、!!」
そんな死に際で興奮状態の蜂を手づかみしたら刺されるに決まってる。
……今のはどう考えたって、都が悪かった。
「………………っ、、」
都は刺された鋭いその強い痛みに顔をしかめ、なにが起こったのかわかっていないのか目もギュッと閉じたままで、
、そして刺された方の手はその痛みのせいか微妙に閉じたままフルフルと指が硬直して全く動かない。
「…っバカか、!!!あんな状態の蜂素手で触ったら刺されんに決まってんだろ、!!お前生物専攻なのにそんなこともわかんねぇのか、!!!!」
俺は眉を寄せてそんな事を口にしながら、都のその手に躊躇なく触れる。
本来だったら触れたりなんかしたら都は絶対に拒絶してくるだろうし俺もそれが分かってるから無理に触ったりはしないが、、今回はそんなことも考える余裕がなかった。
「……っ、力抜け…ッ、……」
都のその固まる手に触れると、本当に手には普段じゃ考えられないような力が入っていてまったく動かず、俺はその指を一本ずつ力尽くでゆっくりと開く。
すると全ての指を開き終わった瞬間に、ポロっとその手のひらから蜂が地面に無抵抗に落ちた。
………………あ、………
その蜂から流れるように都のその開いた手のひらに目線を動かすと、都のその真っ白で細い綺麗な人差し指の先端に、蜂の毒針がその虎斑の尾ごと刺さっていた。
都はやっと開けた目でその自分の指を見ると驚いた顔をして動きを止め地面に落ちた蜂とを交互に見る。
……でも、そんなことに驚いている暇はなかった。
……ミツバチならまだしもこいつが刺されたの結構でかめの蜂だったし、…蜂毒はアナフィラキシーショックが出たりして年に何人か普通に人死んだりするし、……
つーか現に知り合いのネイチャーカメラマンが一人それで重傷になったりしたりしてて、…そういう意味で色んなところへ出向くカメラマンとしては蜂とか毒持った動物とかには気をつけなきゃいけないというのは常識だった。
パチン、…
俺は自分の髪を縛っていた細いゴム(髪が長めな為邪魔な時は軽く束ねたりしてる)を荒くとって都の刺された人差し指の付け根に強く巻きつける。
身長差的に俯いて応急処置してる為自分の髪がバサッと顔にかかって邪魔だ、。
「、痛てぇけど、ちょっと我慢しろな…、」
俺はそう呟いて都の人差し指からピッとその蜂の尾を取ると、手のひらを両手で包み込むようにして爪と爪の間でギューーーーー…ッ、と残った毒針を指の中から押し出す。
「……………っ、ぃ"ぅ…、…ッ、」
そう都が微かな声で唸る。
元から白い指が更に爪で押し出してるせいか真っ白になり、刺されたところから血と毒がタラタラと出てくる。
「、お前過去に蜂に刺されたことは、?ある?」
爪先に力を入れながら都にそう聞くと都は辛そうな顔のままコクコクと小さくうなづいた。
……くそ、…あんのかよ、…
蜂は刺された回数が2回以上だと更にアレルギーが出る可能性が高くなる。
「…何回?、過去にショック症状出たことは、?」
焦りながらもそう聞くと今度は都がさっきの顔のままふるふると左右に顔を振った、。
……、まぁ聞いたところで安心できるような事もねぇけど、、、…何回目で出るとかも決まってねぇし、、、
都の反応にそんなことを思いながら何分か経ってあまり血が出てこなくなったのを見て爪先に力を入れるのをやめて指のゴムも外すと、刺されたところだけ赤くポチっと腫れているもののそんなに目立たないくらいには収まってきていた、。
……しかし都からしたら痛みは全く引いていないようで、都は目は開けているものの依然と眉を寄せたまま動かない。
…なんつーかそのせいかいつもよりロボット感はないからましにみえるけど、…(ひどい
少しひと段落して都の顔を伺う余裕が出てきていつもじゃできない至近距離でそんな都を見る、。
いつもじゃ絶対崩れないそのポーカーフェイスが見事なまでに崩れてる、……
これが素、というにはまだほど遠いような気もするが、…………その都が魅力的に感じない訳が無かった。
あぁ、……すげぇ撮りてぇ、、、
都にまた写真を撮りたい欲を密かに抱き、そしてまたそれを密かに心の中で押し殺した。
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