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イチョウの約束とイチのナイフ。
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「……ほんとにここまででいいのかー?」
結局あの後ふらふらと路地を都と一緒に歩いて日が落ちるまで一緒にいた俺たちは、さっきとはうって変わって、閑静な住宅街に来ていた。
都はそんな俺の問いにこくこくこく、っと三回急いで頷く。
…そう、。ここにいる理由は他でもなく、都を家まで送りに来たのだ。
普段は送ると言っても神保町の駅までだが、今日は、神保町からいつも都の乗る路線のメトロへと今日は一緒に乗り、そして都の家から最寄りの駅で一緒に降り…。
……そこまでくると、気にしつつ知らないふりをしていた都も、ここまで付いてこられるという予想外さに驚いたらしく…、さすがの都も、俺に"どうしたんですか?"と筆談で聞いてきた、…のが約2分前のこと。
すかさずそんな都に「いや、今日は家まで送るよ。」というと、なんとも言えないような怪訝な表情をしながらはっきりと首を振られた。
でもそこで食いさがる訳にも行かず、そんな都を押し切って無理やりついてきたのだけど……、、
駅から少し歩いて、なんか林みたいに大きな木々が生える場所まだ来たところで都が釘を指す様に"ここで十分です。"と俺にいってきたのが約30秒前の事。
「…ほんとにいいの?」
と何回も念を押すようにそう聞くも、"ここの階段上ったらそこなんで"とまた強気の文字でそう言われてしまった。
都の言う通り、後ろは少し傾斜のある坂になっていて、その真ん中に城を彷彿とさせる立派な石で組み上げられた階段が通っていた。
その階段がを目線で上ると、そこは小高い敷地のようになっていて、他から身を隠すように周りにたくさんの背の高い木が植えられ覆い尽くされていた。
「……なに、?あそこがお前ん家なの?」
その木々が生える坂の上を指差しながらそう聞くと、都が少し間を開けてこくん、と頷いた。
住宅街の少し上にあって立派な階段に大きな木々が林みたいに囲んでて…って、…ひょっとすると相当家の方も立派なでけぇ家なんじゃないか、とか少し思った。……まぁ、確かこいつの親、だいぶ有名な教授?…だったような気がするし、…そりゃ立派な家に住んでるんだとは思うけど……
「……じゃあ門の前まで送ってくよ、」
そんなことに納得しつうしつこくそういうと、都がまた慌てたように"僕、女の子じゃない"と急いだ文字で俺に伝えてくる。
……そうだけどよー……そうなんだけどよぉー……
……でもなんか、…今日は嫌な予感がするんだよなぁ、……、、、、、。。
俺はキョロキョロとその暗い住宅街の辺りを一度見渡してから、…まぁ、すぐそこなら心配することもないか、…と渋々諦めて都に手を振った。
「……じゃあな、。…おやすみ、。」
…………ペコ…………
都は手を振る俺にそう一礼すると、何もなかったようにスタスタとその階段を上がっていく。
それを都が見えなくなるまでちゃんと下で見送った。
……………………、よし…。
これでちゃんと都は無事に帰れたはず、、。
俺は都の見えなくなったそこから振り返り、来た道を1人トボトボと戻る。
……俺だっていつもこんなに心配性なわけない。
いつもだったら一緒にいるところの最寄りの駅までもついて行かないくらいだし、都が言った通り女じゃないんだし、そもそも"送る"という発想自体ない。
……でも、いつ頃からだろうか、。
……さっき、あのイチョウの所を離れた時くらいから、 …なんか妙な視線というか……、、……なにかの気配みたいなものを感じるのだ。
それがなんなのかは一切根元自体見つけられてないし、…それが都に対してのものなのか、それとも俺に対してのものなのかさえもわかんねぇけど…、、
…でも俺がこういう勘みたいのを感じるときって大体当たったりたりするんだよなぁ………、、、
……実際女と付き合ってた頃は、これで何回かパパラッチに撮られてた事があるし……、、、。。
…まぁ後をつけられて撮られるくらいならまだましにしたとしても、…この謎の視線が解決しないままっていうのもどうも気持ち悪い。
…といったところで、それが思い過ごしじゃないっていう確信も持てねぇしなぁ……、、。
なんてことをツラツラ思いながら1人でその住宅街を歩く。
元から自分の知らない住宅街を歩くのはそわそわするものだ。
……それプラスこの嫌な気配……、、、あああ…、、…まぁ相手が出てこないんだったら俺からも行く必要もねぇしなぁ…
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