アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
いじめっ子攻・人気者攻・いじめられっ子受 R15
-
僕は学校が嫌いだ。
教室という閉鎖的な空間にある日突然他人同士がクラスメイトというラベルを貼られて押し込められる。
そこで僕たちは教わる、自分を守るための友達作りを。
強者はクラスを牛耳り、弱者は徹底的に蔑まれる。
大半は強者のご機嫌を伺いながらそのストレスを弱者にぶつけて優越感を得る。ああ、コイツよりは上だと。
「みんな友達」なんて歌った音楽もイジメはいけないって教えてくれた道徳も、これぽっちも役に立たない。いつか大人になったら分かるのだろうか。いつか、くだらないと笑い飛ばせるようになるのだろうか。
僕には一生できない気がする。
「タマキンちゃんさぁ〜日本語理解できないの?」
「久我が食いてぇって言ったのはコレじゃないだろ?ん?」
「...........」
「なんか言えよオラァ!!この口は何の為にあんだァ!?」
「ぅぐ........っ」
僕、宮田 環(ミヤタ タマキ)はスクールカーストの最底辺に位置し、上位の連中から虐めの標的とされている。
今日はパンの買い出しを命じられたのだが、僕が買ってきたのは彼らのお望みの物ではなかったらしい。焼きそばパンという抽象的な説明だったし、それなら製造会社まで教えてほしかったという僕の言い分は多分一生認められない。
そんな僕が黙っていたのが気に食わなかったらしく、仲間の一人にいきなり胸倉を掴まれた。制限時間もあって走って買ってきた僕の呼吸は未だに荒く、強く握られた拳が喉にあたってすごく苦しい。自然と涙が滲んでくるのに、目の前の相手は愉快そうに僕を見下ろしている。
なんで?
なんで笑えるの?
「ハハッ、いいねぇその顔。なぁ宮田ァ、殴ったらもっと面白ぇ顔してくれよ」
「やっ.....」
ああ、僕が、僕がヘマしたから殴られるんだ。僕がいけないんだ。僕が、僕が、
「おい」
「く、久我......」
その声が耳に触れた瞬間、全身が凍りつく。彼の低音が鼓膜をすり抜け、ナイフとなって心臓に突き刺さる。喉をヒュッと鳴らしながら瞑っていた目をゆっくりと開けると、僕を抑えつける男の向こう側にアイツは立っていた。
真の悪魔が、現れた。
「お前らさぁ......調子コきすぎ」
僕たち(クラス)の絶対的な支配者、久我 堂真(クガ トウマ)。生まれ持った横暴なカリスマ性と美貌、彼に逆らえばどんな目にあうか皆知っている。雑に脱色された金髪、下品に肌蹴た胸元に、だらしなくずり下ろされたズボン、そんな格好でも久我がすれば男女構わず見惚れてしまう。
僕は久我の玩具に過ぎない。久我の一言で取り巻きたちは楽しそうに僕を虐める。久我が殴れと言えば殴るし、久我のお腹が減れば僕をパシリにする。苦しみに歪む僕の顔を見てアイツは楽しそうに笑う。いつも制裁を下すのは取り巻きで久我本人は見てるだけ、正に王様(キング)なのだ。
「誰がさぁ、コイツに手出していいって言った?」
久我がユラユラとこちらに近づいてくる。僕たちはその鋭い視線から逃れられない。ただ「久我を怒らせた」という恐怖だけが心を支配する。彼を取り巻く威圧感にとんでもないことをしたのだと、この場にいる全員が悟っていたはずだ。
久我の目線が僕から胸倉を掴んでいる男に移る。おそらくお前が質問に答えろと言うことだろう。僕の首を押さえつけていた拳はわずかに震え、こちらにまで緊張感が伝わる。
恐怖で声を発することのできない男に痺れを切らしたのか、久我が勢いよく右手を振り上げた。重力に逆らえない拳はそのまま男の頬を抉り、その衝撃で男は地面へと倒れ込む。痛みのあまり餌付く男を久我は気怠げに見つめ、今度は腹を思いきり蹴り上げた。男の絶叫が響き渡る。
「待ても出来ねぇ犬共が」
そう吐き捨てて久我はその場を去って行った。圧倒的な脅威を目の前にして、張り詰めた空気はそう簡単に和らげない。いかなる理由があってもあの男の機嫌を損ねてはならない、そう頭の中で反芻することしかできなかった。
気に食わなければ手を上げることは日常茶飯事だが、どうやら僕を虐める上で彼独自の規則(ルール)があるらしく、取り巻きが久我の命令以外で僕に危害を与えることは禁じられている。よっぽど僕のことが憎いのだろうか、とにかく自らの手で制裁を下さないと気が済まないらしい。実際、そこまでの執念に特別な意味などないのだろう。ただの暇潰しなのかもしれない。それでも久我は徹底的に僕を暴力で押さえつける。まるでお前は俺だけの玩具だと言い聞かせるかのように...
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 74