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約束
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『第35回、裏峰ヶ山レース!スタートです!!』
マイクの合図とともにたくさんのクライマーたちがスタートしていく。
コースは平坦区間を通り、ダムを周回して裏峰ヶ山を登り、その頂上がゴールだ。
クライマーの力の見せどころは山に入ってから。
平坦区間はどれだけ山に向けて体力を残しておくかが重要だ。
「なぁ小野田ァ」
巻島さんが僕に声をかけた。
「はい、なんでしょう?」
「もし俺が…ゴール取ったら言っておきたいことがあるんだが…」
巻島さんは前を見てはいるものの、僕の反応を伺っているようだ。
「あ、えっと…はい、わかりました」
すると巻島さんは満足そうに微笑んだ。
もうすぐダム周回に入る。
きっとまわりのクライマー達もそのへんから動き出すだろう。
「そろそろだなァ…」
巻島さんやまわりの人たちのプレッシャーが変わった。
始まるんだ…。
〝僕達〟の最後のレースが。
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