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夏の日の君(りつまお)
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「あー…夏休みだっつうのになんで俺は生徒会室にいるんだ…」
8月後半はTrickSTARのレッスンが月末まで詰まっているから、と前半のうちに生徒会の仕事を終わらせようとした。…にも関わらず。なんだこの資料の山は。
『僕、8月は毎年海外の別荘にいるからね!日本にいないし何かあってもすぐには来れないから生徒会の方よろしくね!会長にも無理させないでよ!』
『坊ちゃま、先日の委員会議のまとめがお部屋に置いてあったのを見かけましたがそれは良いのですか?』
『え!?あれ今月中だった?もう明日の昼の便では日本を発つのに!』
『それは困りましたね…いくら私がお部屋を掃除するからと何でも置きっぱなしにするのは坊ちゃまの悪い癖ですね』
『うわー!どうしよー!パパとママに委員の仕事残ってるなんて言えないし』
そんなやり取りを目の前でやられて。明らかな期待の目を向けられる。
「…決定事項打って回覧しとけばいいやつだろ?書記のメモ残ってるなら俺見とくけど」
「わー!ほんとっ!?流石奴隷の友達も僕に従順だねっ♪助かるー!」
「俺も転校生も奴隷じゃねっつの。ひとつ借しだからな」
「はー?借しなんて
「有難うございます、衣更様。坊ちゃまには私の方からも優しーくお話しておきますので…ねぇ?」
口元にっこりと微笑む伏見の顔を見てびくりと肩を震わせる姫宮を見て(さすが毒舌召使いのキャッチフレーズは伊達じゃねえなぁ)なんて思ったのはつい先日の話だ。
「あー…最近 暑さもあってちゃんと寝れてないしな…水分もとらないと身体もたねー。……小休止いれるか」
*
「んー…この季節は日陰も暑いなぁ」
できるだけ寝て過ごしたいのに、家にあまりいると親に何か言われかねないし(俺1年留年してるからなぁ) 場所考えないとどこで兄者に出くわすかともしれないし。学内で、ふらふらと自分の休める場所を探していた。
いつもの花壇の辺り、昼間は日当たりが良すぎるなぁ。少しでも涼しくてなおかつ人通りも少なくてゆっくり出来そうなところ。そんな所を探しているうちに普段はなかなか行く事の無い別館の裏にまで来てしまった。うちの学校、部活にも熱入れてるから少数の運動部もしっかり体育館与えられてるんだよね。今日は静かだから部活動は休みの日なのだろうな。
「こっちの自販機はスポーツドリンクが多いなぁ」
遠目に見えてきた自販機に並ぶ青いパッケージの缶。室内の自販機は紙パックだった気がする。いちご牛乳、前にまーくんがくれたっけなぁ。
「あれ?」
自販機の横。ちょうど太陽光が当たらなくなっている僅かなスペースに自販機に身体を寄せるような形でまーくんが眠りこけていた。傍らにはスポーツドリンクと生徒会の資料(が入ってるらしきファイル)
「まーくん、こんなとこで寝てたら風邪……は、ひかないか。暑いし」
いつもどこでも眠っている俺をまーくんが起こしてくれるから。こんなに油断した顔してる彼を見たのは初めてかもしれない。
「あーあー、こんなに汗かいて。腕真っ赤だしこれだけ日焼けしてるってどれだけ寝てるの…」
お風呂でしみそうだなぁ、なんて考えながらぺちぺちと腕をはたいてみるも起きる様子はない。
何でも引き受けちゃう苦労症の彼は夏休みであっても生徒会、アイドル、部活動と休みなく動き回っていたのだろう。
「まーくん、こんなとこで寝てると熱中症になるよー」
再度はたいてみても相変わらずすうすうと寝息を立てている様子に僅かに悪戯心が揺さぶられてしまった。
「あんまり起きないなら血すっちゃうぞー…」
腕を引いてそのまま首筋に甘噛みでかぶりつく。 ん…、と声はしたもののまだ起きない。どんだけ疲れてるの。
「まーくんが起きないからだよ?」
先程より力を込めてがぶり。吸血鬼じゃないから実際血を吸うなんてことはできないけれど痕くらいつけれるし?
「うん、上出来。綺麗に染まった」
「ん、ぁ…りっちゃん…?」
「あ、おはよ、まーくん。やっと起きた」
「やべ、俺こんなとこで寝て…って!え?っ、お前今何して…!?」
寝惚け眼だったのが途端に目を見開き、顔中が真っ赤に染まる。日焼けした肌よりも真っ赤だ。
「何って…まーくんが何しても起きないから色々試してみてただけ」
「い、色々って!うわ、お前見えるとこに痕つけんなって言っただろ!他に何かしたのか!?」
首筋の痕を押さえて、他にも悪戯されたのか、と服をまくったり荷物を見返している。あたふたしていて面白い、けどそんなに俺って信頼ないのかなーなんて。
「他にー?ないしょ」
「りーつー!!」
顔を真っ赤にして怒ってくるまーくんはすっかりいつも通りのまーくんだった。
…寝顔くらい写真撮っておけばよかったなぁ
あれだけがっつり痕が残してあったら牽制になるだろうか?面倒見のいいまーくんに好意を寄せているのはきっと俺だけじゃないから。
「あんな寝顔、他の人には見せないでよねー」
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