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ゼロはいつも夢うつつ
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「……っは」
急に目が覚めて、急いで体を起こす。
今は何時なんなんだろう。
いつも枕元に置いてある腕時計を探すが、ない。
どうしよう、早く朝ごはんを作らなきゃ。
わたわたとして周りを見回し、やっと気付いた。
「……ここ、どこだ」
僕の家じゃない。
布団の価値などよくわからないが、さっきまで横たわっていた布団は明らかに高級そうだ。
部屋の家具も、つやつやの木で出来ていたり、畳にすら高級感が漂っている。
それにしてもなんでこんな所に寝ていたんだろう?
……あ、もしかして僕のいない間に自宅をリフォームでもしたのだろうか。
いやいや、いくらなんでも寝泊まりしている所がリフォームしてたら気付くな。
少し考えるけれど、頭がずきずきしてきたので考えるのをやめた。
とりあえず部屋を探索しようと思い、立ち上がる。
やっと気付いたのだが、僕は何故か浴衣(?)のような薄い布を纏っていた。
……少しすーすーする。
なんだか、魔法にかけられた気分だ。
うふふ、なんて口元が緩む。
もう次の瞬間には全て無くなってるんじゃないかなんて考える。
久しぶりに浮かれていた気分がちょっと沈んだ。
でもそこで、やっと僕の脳みそは真実に思い当たった。
ーー夢、なんだ。
冷水をびしゃああっと浴びた様な感覚が体を打つ。
……いつか覚めちゃうんだ、残念だなぁ。
でも、そう思うと幾分気が楽だ。
やっぱりよく分からないシチュエーションに遭遇すると肩に力がはいるみたい。
すとん、と肩が軽くなった。
顔を上げて、うろちょろ歩き回る。
部屋の中にはちょっとしたお茶菓子なんかも置いてあったりして、まるで旅館のようだった。
温泉なんかもあったりして。
旅館なんかには来たことがないので、また口元が緩んだ。
窓際に行ってみると、内庭に出ることができる縁側があった。
それはそれは素晴らしい内庭で、へぇなんて息が漏れる。
出てみよっかな、どうしようかな。
浮き足立った僕は後ろから近付いてくる人に気付けなかった。
「わぁー、庭見てるの?? いい趣味してるじゃん?」
「びゃっ!!!!」
いきなり陽気な声で話しかけられて、心臓が激しく脈打った。
びゃっなんて情けない声も出してしまう。
振り向くと、そこには男の人が立っていた。
茜色の髪と目をした人だ。
百人一首に出てくる人みたいな着物に身を包んでいる。
包んでいる……のはいいのだが、その頭には耳が、お尻からは尻尾が生えていた。
「……ぁ、えっと……?」
「あはは、動揺しちゃった?ごっめーん許して☆
まぁ、当たり前だよね。 なんも知らないんでしょ?
というか、元気そうだね。 僕、それ確認しにきただけだからさぁ。バイバーイ」
その人は、尻尾をふさふさゆらして部屋から出ていった。
あ、「内庭にはでていいからね」と言い残して。
……流石夢。
ちんぷんかんぷんだ。
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