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せくはら椿
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「零ちゃんは可愛いなぁ……食べちゃいたい」
「可愛くないです……食べても美味しくないと思います……」
「今度、着物を仕立ててもらおうねぇ~。 あ、髪の毛もそれっぽくしてみようよ」
うぅぅ~……そろそろ離れてくれないかな……
さっきから椿さんは僕にひっついたまま、僕にニコニコしながら話しかけている。
(会話はほとんど成り立たない)
かれこれ十分程経つんだけど……説明、しないのかなぁ……
と、部屋のドアがドンドンと乱暴に叩かれた。
それからまた乱暴にドアが開く。
「あああー!! バカ椿が人の子にせくはらしてる!!!! せくはら椿!!!!」
そこには、何故か饅頭を二つ手に持ったユウが立っていた。
椿さんは「ちぇー……」っと言って僕に抱きついたままで顔を上げた。
「ジジイに言われたの?」
「そうだよ。 狐のオッサンが、饅頭やるから見てこい~ってさ」
「へーへー……んー、僕は零ちゃんと仲良ーくしてるから。
ジジイにはそう言っといて~」
「……お前、零っていうのか」
不意に僕に視線を注がれて、顔が火照る。
「う、うん」と小さく言ってコクコク頷くのが精一杯だった。
「……ふぅん。 せくはら椿には気を付けなよ、零」
「わ、分かった」
ユウは椿さんにべーっと舌を出してから、饅頭で手が塞がっているからか足でドアを開けて出ていってしまった。
(ドアを閉めるのも足でやっていた。 器用な子だ)
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