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あほ
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ユキツネさんが首を横に振ろうとすると、すかさず椿さんがなにかを耳打ちした。
菊池さんは僕に、気にしないほうがいいとだけ言った。
「帰るぞ」
急に体が軽くなって、天井が近くなった。
ふわっという不思議な感覚と共に、僕はユキツネさんに俵のように担がれていた。
「やっ、やめてっ……やぁだぁ……!!」
じたばたと暴れて見るが、ユキツネさんはどこ吹く風。
全く相手にしてくれない。
菊池さんだけがちょっと困ったように僕を見ていた。
「き、菊池さぁん……」
手を伸ばすけど、ちょっと撫でてくれたくらいで助けてはくれなかった。
ううう、と唸るが、ユキツネさんは黙ったまま部屋を出ていったしまう。
(僕は担がれたままだ)
僕ヤです。
もっと梅ジュース飲みたかった。
夢が覚めたら、飲めないのに。
ゆめが、覚めたら。
こうやって、優しくしてもらえなくなる。
「私が怖いか」
急にじたばたするのをやめた僕に、彼は声をかけた。
ちがう。
貴方のことは怖くないんだ。
何故か涙腺が緩くなってしまっていて、涙がぽたぽた廊下に落ちた。
ユキツネさんは驚いたように足を止めた。
「おい、大丈夫か。 どこか痛いのか」
訊かれて、ぶんぶんと頭を横に振る。
やっぱり僕は酔っている様で、ユキツネさんにしがみついてわんわん泣いてしまった。
アホみたい。
どこか冷静な僕の心が、そう呟いた。
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