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プレゼント
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「時雨ー!」
「お、ぉぅ……」
俺は唖然とし、楝は口をあんぐり開けて、周りはキャーキャーしてる。
「まだ休み時間?ちょっと早かったな……」
「あれだね、兄さんが来ると一発でわかるね」
「んっ?……ああ、納得。」
そうやって雑談してると、わらわらとみんな寄ってきた。
「今なんて!?」
「兄弟!?」
「おいシグシグマジかよ!?」
「似てる!似てるぞ!」
「うるさい……」
みんなやっぱ珍しいみたいで、俺にいろいろ聞いてくる。
女子の金切り声がすごく五月蝿い
「こんにちは、時雨のお友達?」
「は、はい!な、な、仲良くささささせてもももらってますすす」
「楝噛みすぎ慌てすぎ……」
「あははっ、面白い人だね、時雨と仲良くしてくれてありがとうね」
「ぅわっ?」
兄さんは、言い終わると俺のことを軽く抱きしめた。
……なんだかとっても暖かい、心地いいな……
「ん、あら、お母様がたも集まってきたね。高校なのにこんなに来るんだぁ」
「う、うん、そうみたいだね?」
そんな抱かれている俺を見て、一部の趣味に突っ走る女の子たちがガタッとしていた。
……あぁいう女の子って俺はむしろ好きだなぁ……なんて
キーンコーンカーンコーン……
チャイムがなって、時間になる。俺達は席について、先生が来るのを待った。
そんなことはどうでもよくて……兄さん辺りから感じるこのお母様方の興奮はどうにかならないものか。
「よーし、それじゃあ授業はじめますー」
俺のクラスの担任の、ゆるふあ先生こと赤城咲夜先生が教卓につく。
挨拶をして、着席。
「今日は、この前宿題で出した作文を発表しましょぉ。ひとりひとり、丁寧に読んでくださいね。」
「はいー。」
名簿順ではなく席らしい、良かった……俺最後の方だ……。
ちらっと兄の方を見ると、その視線に気づいたのかにこっと笑う。
そしてその笑みで数人が落ちたのは言うまでもない。
クラスは41人で、俺はこの席の順で行けば最後の方なんかじゃなく一番最後である。
ということは、それなりに時間がある。
最初の方だと、効率よく回すのに早く進めなきゃいけないから。……それだけはいやだったのだ。
「僕の母は……」
「私の父は……」
みんな、お母さんかお父さんのことばかりだった。
それに、言わなかっただけなんだけど、みんな、何故俺の家は兄なのか、そんな目で見られていた。
……お父さんのことも、お母さんのことも、何もわからない……だけど、きっと優しかったんだろうな。だって、兄さんがこんなに優しくてしっかりしてるんだもん。
……だから、ちゃんと伝えなきゃなんだ、天国か地獄かは分からないけど、僕は幸せになったんだよって、教えてあげるつもりで……。
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