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兄と違和感
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氷室side
リビングに入ったはいいものの、俺は何をしたらいいかわからずドア近くをウロウロしていた。
自由にしてていいとは言われたけれど、こういう時遠慮してソファには座れないし、あまり家を見て回るのも失礼な気がしてできない。
自分で脱衣所に押し込んでおいてなんだけど、早く大泉くん戻ってきてくれないかななんて思ってしまう。
……そういえば、今このお家には大泉くんと俺以外誰もいないのだろうか。
人の気配がしないから、ご家族は仕事に行ってしまってたりするのかな…て、そりゃそうだよね、俺たちだって本当はまだ授業中なんだし。
とは言っても、もう6限の終わりに近いんだけれど。
もし今、ご家族が帰ってきてしまったらどうしよう。
とりあえず不審者ではないことを伝えなきゃだよね。
いつも大泉くんにはお世話になってます、とか……あ、名前も名乗った方がいいかな。
なんて、挨拶の言葉を考え込んでいたから、誰かが玄関のドアを開けた音に気が付かなかった。
突然目の前のドアが開き、そこには男の人が驚いたように目をぱちくりさせて立っていた。
俺も驚いて数秒固まってしまったけれど、はっと我に返り慌てて頭を下げた。
「こ、こんにちは!お邪魔しています!」
いい終わったあと、そろりと顔を上げ、再び目の前の人と目が合う。
その男の人は俺を品定めするように下から上に視線を這わせ、最後に顔をじーっと見つめてきた。
最初は驚いてよく顔を見られなかったけど、この人、大泉くんに似ている。
そんなことを考えながらぼーっと見つめ返していると、その人はにこっと笑い一歩こちらに近付いてきた。
「こんにちは。カズの友達?名前は?」
「は、はい!氷室瞬っていいます。えっと、いつもお世話になってます!」
大泉くんと似た笑い方に少しどきりとしたが、何だか作ったようなその笑みに違和感を覚えた。
俺の気のせいかもしれないけど。
「へぇキミが…………俺は宏正、カズの兄貴、よろしくね」
またこちらに一歩近付く。
「ところで、何でカズの服きてるの?」
「あ、えっと、雨に濡れちゃって、風邪ひいちゃうからって、制服が乾くまで服を貸してくれたんです」
「へぇ、そうなんだ」
また一歩、こちらに近付いてきたところで、宏正さんとの距離が異様に近い事に気が付いた。
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