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俺たちの距離
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大泉side
昼。
今日は久し振りに九城と屋上で飯を食っていた。
すると突然、九城に言われた。
「お前、氷室のこと好きだろ」
いきなりそんなことを言われて、驚かないはずがない。
当の本人は何驚いてんのって顔してるけど。
「………なんで、そう思う」
「見るからにそーだろ」
俺って、分かりやすいのか?
自分では結構隠せてると思うけど。
「皆知ってるかな」
「多分知らねぇよ、俺がちょっと敏感なだけ」
「………………自分の事には疎いくせに…」
「何か言ったか?」
「いや別に。ま、皆に知られてないならいいや」
俺は野菜ジュースを飲み干した後空を仰ぎ見た。
五月晴れ……って言うのかな、これ。
「……いつからなんだよ」
「何が?」
「好きになったの」
「…………多分……初めてあいつを見たとき」
そう、多分その時から好きだった。
俗に言う一目惚れか。
「ふーん。まぁ、いーんじゃねぇの。あいついい奴だし顔もかわいいと思うし」
「だよな、かわいいよな。つか、いつの間にお前ら仲良くなってんだよ!」
玄関で2人を見たとき、ちょっともやっとした。
それから氷室に手振り払われるし、嫌われたかと思ってすっげーへこんだし。
でも、会いに行ってよかった。
もしあそこで追いかけてなかったら、多分ずっと気まずいままだったと思う。
「…………でも、氷室にとって俺は『憧れ』の対象なんだよ」
「……へぇ、『憧れ』ね……」
どうやったら、氷室は俺を見てくれるんだろう。
ふと、あの笑顔を思い出した。
きれいで儚くて、優しいあの笑顔。
まだ一度も、俺に向けてくれてない。
俺たちの距離は、まだ遠いままだな…。
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