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優しい彼女
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ねこちゃんにご飯をあげるいつもの時間に校舎裏に行くと、ねこちゃんだけでなく、今日は一度も姿を見ていなかった氷室くんが、うずくまって眠っていた。
最初は驚いてどうしたらいいか分からなかったけど、風邪を引くと大変だからと起こした。
顔を上げた寝起きの氷室くんはとても可愛くて少しみとれてしまったけど、すぐに気をとりなおして言葉をかけた。
なんだか元気がない。
多分、大泉くんと何かあったんだと思う。
氷室くんと同じクラスの人が言っていたから。
けんか…かな。
最近一緒にいるところをよく見る。
大泉くんと一緒にいる氷室くんはすごく楽しそうで、少し大泉くんが羨ましいと思った。
でも、悲しい顔する氷室くんは、見たくないなぁ。
早く仲直りして、いつもの氷室くんに戻ってほしい。
あと、一瞬私が氷室くんを好きなのばれたかと思ったけど……大丈夫だったみたい。
でも誤解されそうになって少し焦った。
私が好きなのは氷室くんだよって、伝えたい。
でも私には、そんな勇気はないからなぁ。
「多宮さん、ありがとう。なんか少し元気出たよ」
「ほ、本当?それならよかった……」
優しく笑う氷室くんに少しドキッとする。
やっぱり、綺麗に笑うよね。
「京子にも、心配かけちゃったみたいだね」
「……うん」
従兄弟である2人は普段から仲がいい。
一時期付き合っていたこともあったみたいで、別れちゃった今でも2人は見えない絆で繋がっている。
「京子は、いいやつでしょ?」
「うん、凄く優しい。1年生の頃、なかなか友達が出来なかった私に、京子ちゃんが声をかけてくれてね。あの時は本当に嬉しかった…」
そう、京子ちゃんは優しい。
だから自分の気持ちを隠してまで、友達の恋を応援している。
私はそれに気付いているのに、気付かないふりをして京子ちゃんの優しさに甘えてる。
そんな私を、彼は許してくれるかな。
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