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プロローグ
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小さいけれど感じのいいカフェの、テラス席での出来事だ。
向かいに座るその男は、身の毛のよだつ甘い声音でこう言った。
「今夜、僕の部屋で脱いで欲しい。出来ればベッドの上で」
いつもと変わらない、平淡な声音で隣に座るソイツはこたえた。
「ベッドだろうが、床だろうが、お好きなように」
口に含んだ水が思いっきり気管に入って、げほげほと咳き込んだ。隣に座る久賀史彦が非常に迷惑そうに、形のよい眉をひそめながら睨んでくる。
苦しんでいる相手にそんな冷たい目を向けなくてもいいじゃないか、久賀さんよ。
テーブルの向かい側で、問題が大いにある要望をさらりと口にした男は、くつくつと笑っている。
何が可笑しいのかとむっとしながら睨むと、実に楽しそうな声音で男は言った。
「いやぁ。君の友だちにしちゃぁ、ずいぶん変わった毛色の子だね、史くん。うん、オモシロい。どうかな君さえ良ければオトモダチ君も招待したいね」
ベッドの上に。
一体、何がどうしてそんな場所に招待されなければならないのか。おっそろしいお誘いもあったもんだな、おい。
自分が直面している状況にプチ混乱をしながら、知弘は傍らの友人(と言っていいのか微妙だが)を見た。が、何時も通りの無表情。お前のことなど知ったことか。とでも言うような態度。
傍らには冷血男。正面には、怪しさMAXな変な男。
ああ、どうしてこんな事になったと、知弘は頬をひきつらせた。
あの時、放って帰れば良かったと、ほんの何十分か前の事を後悔した。が、後の祭りだ。
傍らの同級生 曰<いわ>く「後でするから後悔だ」
後悔、先に立たず。今の状況にピッタリの言葉だった。
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