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甘い先輩
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「…………、っ!」
どうしよう。
頭が真っ白になる。
昨日開けられなかった扉を、こうも簡単に開いてしまった。
驚いた様子でこちらを見つめる宮城先輩と目が合う。
スラリと伸びた手足、180cmありそうな背丈。整った目鼻立ちに、程よく薄い綺麗な唇。そして、吸い込まれそうな亜麻色の瞳。
どこを取っても、近くで見る先輩の姿は美しくてつい見惚れてしまう。
「君、扉閉めて。こっちにおいで?」
先輩は言いながら、手招きをする。
赤くなる頬を熱を感じてハッとし、見つめていた瞳を少し下へと逸らす。そして、先輩に言われた通り少し奥にある机へと駆け寄った。
「先輩、ここで何を…?」
「俺は、…人を、待ってる。君は何してるの?」
「えっ!?俺…は、わ、さ、探し物、してて…!」
…今のはセーフだと信じたい。
ふっと息を吐いて、何事も無かったかのように相手の顔を覗き込む。
「ふーん…、
実はさ、俺の待ってる人、ここに来るか分からないから一緒に待っててくれない?」
「え、いや…でも、悪いですし……ぎゃっ!」
いきなり先輩が、俺の背中へと手を回した。
驚き声を上げた俺に構わず、触れるか触れないかの所で腰に手を這わせてくる。
「もっと色気のある声が聴きたいんだけど」
耳許に口を寄せられ、生温い吐息を直に感じる。
無意識に足を内股に閉じていたようで、すかさず先輩の足が俺の足の間に割って入ってきた。
先輩は、パニックになりかけた俺の頭を宥めるように撫でた後、耳に掛けているマスクの紐を指に絡めて外し、そのまま流れるような手付きで顎を持ち上げ俺へと口付ける。
「ゃ、せん、ぱ…はなし……んん、っ」
離してください、と口を開こうとしたその隙間にすかさず舌を捻じ込まれる。
熱を帯び、固くなり始める欲望に忠実な身体。
蕩けるようなテクニックと、甘い唾液。
俺は、この人にまだ名前も聞かれていない。
俺じゃなくても、誰でもいいのだ。
先輩は俺の事を知らないし、
俺だって先輩の事、何も知らない。
そう思うと悔しくて、悲しくて、でも何も出来ずにされるがままで、
不意にぷつりと、何かが切れたような気がした。
その瞬間、瞳から大量の涙が溢れ始めた。
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