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ずるい
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「…ぇぐ、っ、ふ…ぁ、ぅう……」
情けない、ださい、それでも涙は止まってくれない。
目尻を拭おうと差し出してくれた手にも、ビックリして身体が跳ねてしまう。
行き場の無くなった先輩の大きな手は、ゆっくりと、申し訳無さそうに引っ込められていった。
「ちょっと王子ー?また女の子泣かせてんの?」
突然扉の近くから声がして、ビクリと肩を震わせてしまう。
「ひ、っ……!?」
「王子ー?こっから女子の泣き声がして………あ、」
扉の辺りで、宮城先輩と同じ歳だと思われる女の人がしまったと声をあげる。
「あー…、きみ男の子だったんだ。ごめんね〜?」
背後から声を掛けてきた女の人は、宮城先輩に敬語を使っていなかった。
この人は宮城先輩とどんな関係なのだろうか、醜い顔だろうけれどこうして俯いたまま顔を隠しているのは失礼だろうか…と、パニックになった頭であれこれ考えていると、ふと宮城先輩の手が再び俺へと伸びてきて
「そのまま、顔伏せてて良いからね」
と優しく包み込むように頭を撫でてくれた。
「みや、しろ…せんぱ……」
さっきは、その………キス、とかされて怖かったけど、優しい人なのかもしれない。
俺は宮城先輩の好意に甘える事にして、俯いて涙を拭いながらも二人の話す内容に耳を傾けた。
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