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隠蔽。
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「ご無沙汰しております。白井です。この度急な出費がございまして...。自宅金庫から金銭の取り出しの許可を頂きたく連絡を差し上げました。...いえ、特に何もございません。蒼様は相変わらず元気なご様子でいらっしゃいます」
「はい。ありがとうございます。それでは失礼致します」
白井は自室である準備に取り掛かる
電話の相手はこの家の主人であり
蒼の父親でもある
小野寺哲司だった
自宅金庫を利用する為の許可を
取る為の電話だったが、
哲司は白井に蒼に何かあったのか?と
尋ねていた
特に何もないと伝えたが
蒼がもしこの事を知ったら
ろくに家に帰らないやつがふざけるなと
怒るだろう
触らぬ神に祟りなし。
この言葉に尽きる
蒼と哲司の仲の悪さは
頼まれない限り関わりたくないと思う白井
まぁ、そんな事今はどうでもいい
現在時刻16:45
まだ霧島高校に教師が滞在している時間に
行わなければならない事だった
金庫がある部屋は普段白井ですら
立ち入りしない場所だった
無論、召使の清掃ルートからも
排除している
利用する時の埃臭さは致仕方ない
厳重にロックの掛かった金庫の中には
一般家庭じゃ考えられない程の額の
お金が保管されている
スーツケースに幾数の束の金を詰めると
リムジンへ乗り込み早急に学校へ向かう
「..3組の小野寺くんのご家族がお見えです」
事務員は緊張した声色で
功太の担任の教師と共に
校長室へ向かう
校長室の中はいつにも増して
緊張感が漂う
頭をさげ失礼します、と小さく合図し
足早にその場を離れる事務員
「この度はわざわざご足労くださいましてありがとうございます。それで..ご用件は....?」
校長という存在の人でも白井の前では
へりくだるように頭が上がらない
それもそのはず
霧島は編入学を一切していないのにも関わらず、蒼はここへやってくる事ができた
財閥の会長の息子を拒否する事は
できなかったのだ
そんな入学を受け入れた校長に対して
哲司は”謝礼金”として多額の寄付を
今も絶やさず払っている
一種の賄賂であるのだが
学校経営も上手くいっていなかった事もあり
受け取ってしまったのが事の発端
弱み握られたように
小野寺家には逆らえなくなっていた
「2組の神崎功太について、お話をさせて頂きたいと思いまして。」
2人は白井の予期せぬ発言に唖然とした顔を見せる
なぜ小野寺家の者が
1人暮らしをしながら通学する
神崎功太について話があるのか
「あまり蜜にはお話できませんが、神崎功太はこれから登校致しません。しかしこれは退学や登校拒否ではありません。貴方がたにはそれを黙認して頂きたく、本日は参りました。もちろん、タダでとは言いませんよ」
持参したスーツケースを開く
見た事もないような目の前の光景に
目を見開く姿に白井は怪しく微笑む
「こちらは学校への提供ではなく、貴方がた個人への提供でございます。さぁ、お受け取りくださいませ」
2人とは打って変わった態度で
冷静に物事を進めていく白井
2人にもちろん断る手段はない
神崎功太は”暫くの休学”と処理された
「あの〜...蜜にはと仰いましたが、もう少し聞かせて頂く事はできないでしょうか?」
要件を済ましさっさと帰る白井の背中に
校長は問いかける
白井は足を止め振り返った
「....神崎功太は蒼様の物になりました。これ以上深く聞く事は許しません。それでは」
説明にもなっていないそれは
どことなく2人に恐怖心を植え付けた
「あまり深入りするのはやめましょう校長...。私達にまで被害が及びそうです...」
「あぁ、君の言う通りだ。あの家族はどこかおかしい...それに、逆らったりしてはいけない気がしてならないのだ...」
2人は部屋の机に置かれた
閉ざされたスーツケースを見ながら
そんな会話を交わした
こうして、白井は
蒼が完全に功太を支配できる環境を
作り上げた
全ては、蒼様の為。
学校までもが白井に加担したのだった
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