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下校時間。
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あれから図書館で時間を潰した蒼は
サボることなく午後の授業を受けた
終業のチャイムが鳴ると同時に
携帯を取り出す
迎えを要請するショートメールを白井に送ると
それを素早くしまう
すぐに担任の教師が教室へ入ってきた
明日の連絡事項を説明しているが
正直誰も聞いてない
「はい、先生からは以上だ。それじゃまた明日」
告げ終わると同時に
皆は一斉に立ち上がり騒ぎながら教室を出て行く
蒼も荷物をまとめるとドアに向かう
すると前の出入り口を横にいたクラスメイトが
足で塞ぎ、行く手を阻んだ
「よぉ、賄賂転校生くん」
面白そうに口を開いた生徒を睨む
「いつも1人で友達もいねーのによく学校来られるよなー。俺には無理だわぁ..なぁ?」
周りにいた友人らしき集団に問いかけると
そいつらもニヤリと悪い笑みを浮かべる
「...低脳の奴らと仲良くする気なんてないよ。そうやってすぐ突っかかってくる所とかほんと、バカ丸出しだよね」
挑発するような言葉と視線に
その生徒の顔付きが変わる
「...あ?お前喧嘩売ってんのか?」
「最初に売ったのはそっちのほうでしょ?」
怯むことなく言い返すと胸倉を掴まれた
それでもまだ尚
表情を変えず睨みを利かす目で相手を見ていると
慌てたように教師が駆け寄ってきた
「おいっ!何やってるんだ、その手を離せ!」
教師がその手を振りほどくと
突っかかってきた生徒は舌打ちをしてみせた
蒼は乱れた制服を整えると
去り際に再度相手を睨みその場を後にした
「何なんだよあいつ...ムカつく...」
「小野寺にはあまり関わるな。俺たちでも手に負えない場合があるからな...」
その意味深な発言に生徒は
怪訝な顔つきで教師を見る
だが教師はそれ以上何も言わず
その場を後にした
「確かにあいつ、賄賂使ってる位だし...家とか相当ヤバそうだよな...」
友人の発言に突っ掛かった生徒は
ただ黙り込むだけだった
蒼が校門へ着くと同時に白井の車も到着する
白井が開ける前に
自らドアを開けて車に乗り込んだ
「グッドタイミング〜!ただいま!白井!」
明るい声に白井も微笑んだように
顔を綻ばせる
「おかえりなさいませ。蒼様」
「ね、白井。功太、逃げたりしてなかった?大人しくしてた?」
入ってくるなり功太の話題を出された
白井の胸は少し痛む
「午前は別件があり家を留守にしておりましたが、帰って確認したところベッドで眠っておられましたよ」
穏やかな口調で答えると
安堵した様子で蒼は溜息じみた声を漏らす
「早く帰って会いたいな、功太。僕の功太。」
窓の外を見つめる目には
一切の影はなく
帰宅後に会える功太を楽しみに輝いていた
(可愛い功太...待っててね、もうすぐ帰るから..)
その様子をバックミラー越しに
白井は見つめていた
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