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監禁生活。--食事--
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蒼は
本当に俺の事が好きなのか?
かわいいとか、好きとか、
僕だけのって言う癖に
殴るし、蹴るし...。
酷い事しかしてこない
でも俺に対しての執着も酷いものだ
蒼の事だけ考えろとか
ここから出してもくれない所とか
俺の事をどこまでも縛り付けてくる
でも俺は遂に言ってしまった
蒼本人に、直接
好きじゃない、と。
そう言ってしまったこれからは
何をされるんだろう
先の見えない恐怖がまた更に不安にさせる
そして会えもしない
愛しい人への思いばかり募っていく
---ガチャッ。
扉の開く音と共に
部屋の明かりが点いた
はっと我に返ったように顔を上げ
音のしたほうへ目を向ける
そこには蒼の姿があったが
いつものように
ご飯の乗った台車を押していなかった
....またご飯抜きなのかな
さっきたくさん食べろって言ったくせにと
心の中で思ったのも束の間、
蒼は足早に功太の側へ歩み寄った
「今日から、リビングで一緒に食べよ」
手を功太へ伸ばし、ニコッと微笑む
「リビング....?」
言ってる事は分かるのだが
いまいち飲み込めず聞き返す功太の手を
蒼は掴む
「そっ、ちゃんとテーブルで、自分で食べるなら功太もちゃんと食べれるかなーって思ってさ。」
手を引かれて功太はベッドから降りる
ペタペタと足音をたて
部屋を出る
廊下へ出て、階段を降り
リビングに着くまでの間
蒼はその掴んだ手を離すことはなかった
ギィィィッと開いた扉の向こうの机上には
食器まで整えられた夕飯が用意されていた
「功太はこっちに座ってね」
蒼は未だ離さない手を引き
白井が引いた椅子の前まで功太を連れて行った
急な展開に戸惑いを隠せない功太は
とりあえずその椅子へ腰を下ろした
そして蒼は対になるように
功太の向かい側へ腰を掛けた
視線を下ろすとそこには
こんな豪華すぎる屋敷に不似合いな
庶民的なご飯があった
「トンカツ......」
功太が呟きながら驚いていると
蒼はお箸を持ちながら口を開いた
「うん、トンカツ!お昼は食堂でトンカツ食べたんだけど、白井の方が美味いからさ〜。」
お願いして作って貰ったんだ、と
美味しそうに頬張った
(そういえば..理樹の好きな食堂のメニュー、トンカツだったよな....)
---『昼トンカツ食ったんだ〜!功太は何食べた?』
---『またかよ。俺は別に、何も。』
---『ちょっ、ちゃんと食えって言ってんだろっ!?....よし、今日は俺が功太ん家で手料理作ってやる!もちろんトンカツな!』
---『それお前が食べたいだけだろ』
---『なんでばれた!?』
理樹と会話した記憶が鮮明に脳裏に浮かぶ
「....た、....うた、功太!」
名前を呼ばれていることに気づき
ばっと顔を上げると蒼と目があう
「どうしたの?早く食べないと冷めちゃうよ?お腹空いてないの?」
心配したような口調で功太へ問いかける
.....怒ってはないみたいだ
「...別に、大丈夫。」
素っ気ない返事で済ませると
功太も食事を開始する
感想を求めるような視線を蒼は送る
功太は蒼が美味しいと絶賛のトンカツだったが
何故かあまり味がしなかった
だが
蒼が欲しがる返事をしないと
何されるか分からないと感じた功太は
美味しい、と
無表情に答えた
頑張って完食した功太を待っていた蒼は
それを褒めてあげた
「ちゃんと全部食べられたね、偉いね」
まるで幼児を相手にするような褒め方に
苛立ちを覚えるが何も言えなかった
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「ねぇ功太、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
部屋へ戻り ベットの上で座っている功太の横で
寝そべりながら蒼は自分の携帯を取り出す
自分の携帯ケースが蒼の携帯に取り付けられていることをその時功太は初めて知った
(....俺のもの...こいつ、勝手に.....)
下唇をキュッと噛む
「功太、このケースのキャラクター好きなの?」
蒼は視線をケースに送りながら問いかける
ケースはジャガイモをイメージしたキャラクターが総柄で印字されているデザインだ
「.....うん」
本当は好きなわけじゃないけど....
「ふーん。あと、なんでこいつだけハートで囲ってるの?」
今度は功太をみながらケースを指差し問いかける
指を指した先には
無表情のキャラが黒ペンでハート型に
囲われている
「....なんとなく....気に入ったから....」
蒼は視線を合わせることなく呟いた功太を
見つめながらあることを思った
「なんか、この無表情のやつと功太、似てるね」
「怒ってるわけじゃないけど、表情が無くて...うん。似てる。けっこー似てる。」
ケースと功太を交互に見ながら
確信したように頷く
「そ、そんなことないよ....」
戸惑ったように否定する功太
分かりやすい戸惑い方に
しまった、と思ったが
蒼はあまり気にしていないようだった
こうやっていちいち蒼の機嫌を伺うことが
厄介であったが日常化してきていた
それから何でもない会話を蒼は続けた
一方的に蒼が話しかけて
それに功太が答えるだけの応答だったが
蒼はとても嬉しそうに会話して
功太自身も蒼の見たことない無邪気さに
戸惑いながら話していた
(.....本当は普通の人なのかな)
いつも見ていたのは
束縛の激しく、狂気染みた蒼だけだったので
こんな一面があることに
功太は驚きが隠せなかった
でも
俺はやっぱり
蒼の事は好きにはなれないーーー。
初めて見る蒼の無邪気な笑顔が目に映るたび
功太は初めて心を痛めた
この感情はーーー何だ?
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