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発覚。
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「久しぶりにこんなに食ったぁ〜。小野寺と話せたのが良かったのかもな!」
理樹はあどけない顔で
蒼へ笑いかける
「そうだとしたら僕も嬉しいよ。橘くんはよく食べるんだね」
橘に対して
本当は何の関心も無いのに
蒼は作り笑いを取る
「今日は全然だぜ?豚カツ食いたかったけど、材料切れで無かったらしいからさ〜。俺あれなら4回お代わりできるっ!」
「えぇ〜それは見てみたいなぁ」
適当に相槌を打ちながらも笑顔は絶やさない
2人は皿を片付け、食堂を出る
口笛を吹く理樹の横で
蒼はポケットから携帯を取り出した
まだ余裕があるなら
図書館に寄ろうかな....
時間を確認しようとしたその時だった
「あれっ、それって.....」
理樹が自分を指さして
驚いた顔をしているのに気づく
「...どうしたの?」
自分を指差してると思ったが
よく見ると自分の手を指差していることに気づく
「いや、そのカバー.....俺が功太にあげたやつと全く一緒のやつだから...」
首をかしげて
頭にハテナを付けながら理樹は呟く
蒼は理樹の言葉に固まった
橘が功太にあげたもの?
功太は親から貰ったって....
ああ、なるほど.......
嘘ついたんだ
「俺の母さん、北海道出身でさ。この間帰省した時にこれと同じやつ功太にあげたんだ。その総柄の中に無表情のじゃがいもいんじゃん?あれ、功太に似てるなーって思ってわざと黒ペンで囲って渡したんだよな〜」
俺はこんな顔じゃないって怒られたけどさ、と笑いながら鼻を掻く
「似てるって思わねぇ?あ、久しぶりに見たいな、見せて!」
理樹が蒼へ歩み寄り
手の中で握られた携帯を覗き込む
蒼は咄嗟に携帯を隠し
後ろへ後退する
これは功太から奪ったもの
黒ペンで囲われてるし、それを確認されれば
いくらこいつでも
きっと勘付かれるはずだ
「お、小野寺?」
急に拒否された事に理樹は
たじろいで蒼を伺う
蒼はあからさまな行動をどう取り繕おうかと
焦りながら口を開く
「あ、いや....携帯ケース結構ボロボロだから....見られたら....その、恥ずかしいかな...ごめん...」
携帯を後ろ手にして尚も隠しながら
理樹との距離を開かせる
「....そっか、こっちこそごめんな!俺は全然大丈夫だから!」
功太への気遣いを常にしている理樹は
蒼へも落ち込まないように
気を遣ってあげる
怪しまれていない....よね?
このままこっちにいたらちょっと危険かも...
「僕も全然大丈夫だよ。またご飯一緒に食べようね。楽しかった。またね橘くん」
図書館へ向かう道に歩みを進めながら
理樹へ手を振る
もちろん
引き攣らない様に笑顔を見せながら
「おう!またな!小野寺っ」
右手を挙げ軽く掌を振る理樹を
一瞥し角を曲がった瞬間に
作り笑いを止めた
「功太........信じてたのに.....」
携帯ケースを強く握りしめ
片方の手で校舎の壁を殴る
ゴツゴツとした壁の質感は
蒼の拳を傷付ける
血が滴るがその痛みに気が向かないほど
功太への怒りの感情で満ちていた
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