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番外編 好きな人⑤
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梓は弘人の事が好きだった
誰にでも優しく子供たちにも、大人たちにも慕われる
そんな彼に憧れていた
けれどそれはただの片想いに過ぎなかった
「残念ながら彼は私に目を向けてはくれないと思う」
「どうして?」
「彼には他に好きな人がいるから」
そう、弘人には他に好きな人がいた
それが誰なのかは梓は言ってくれなかったが
誰かは知っているようだった
弘人の好きな人……
どんな人なのだろう?
あの弘人が好きになった人だ
きっととても素敵な人なのだろうと
浬はそう思い描く
こっそり聞いてみようかなんて考えた
「ねぇ弘人さん」
「弘人さんは好きな人いるの?」
「え?なんで急に……」
弘人は明らかに動揺していた
そんなに聞かれたくないのかな?
でもやはり気になる……
浬は悪いかなと思いつつ話を続けた
「いや、弘人さんモテそうだしどうなんだろうって」
「い、いないよ
そんな人」
「そうなの?」
弘人は苦笑いをして誤魔化した
なんかやはり聞かれたくないようだ
好きな人くらい教えてくれてもいいと思うけど……
もしかしてそんなに言えない人なのか?
言えないような人ってどんな人だ?
ますます気になってしまった
その後この話はすることはなく二人といつも通りに接した
しかし弘人は若干警戒したような態度をとっていた
そんなに聞かれたくなかったのだろうか
そんなある日のこと
いつものように施設で仕事をしていたときだった
梓が弘人と外で何やら話しているのを窓から見えた
しかし暫くすると梓は涙目になって部屋に入ってきた
「梓さん?」
ビックリして大丈夫かと聞いたら彼女は
涙を拭いて大丈夫だと言った
「ごめんなさい
何でもないから……」
そう言って彼女は仕事に戻っていった
そのあとすぐ弘人も部屋に戻ってきた
弘人に梓と何があったのかと聞いたのだが
こちらも何でもないよと教えてはくれなかった
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