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「俺と付き合って」
「いいですよ?」
なんのためらいもなく答えた雪成に潤人の方が驚いてしまった。
抱き合うような形で向かい合っているため至近距離にある潤人の顔をみるには少し見上げなくてはならない雪成は、呆ける潤人に小さく首を傾げる。
「…?…あの…どこに行きたいんですか?今日はこんな時間だし、あまり遠くには行けませんけど…?」
「…………………ぶはっっ」
どうやら噛み合っていないことに気がついた潤人は思わず噴き出した。
ー は~じめて見たよ!?これを素でやる子!
そう思うと、もう笑いは止まらず、雪成を抱えていた腕をほどいて痛くなる腹を押さえた。
突然笑いだした潤人に訳のわからない雪成の頭にはクエスチョンマークが踊っている。
「あの~…潤人さん…?」
「はぁーっ!ぁは…ゴメン…ックックックッもうダメ…あっはっはっはっは!」
謝っているが、雪成の怪訝な顔を見て更に笑う潤人にだんだんと腹がたってきて…
「もう!なんなの!?潤人さんが付き合ってって言ったんじゃん!?なんで僕見て笑うの!?」
頬を赤らめて怒る雪成だが、潤人の笑いは止まらない。呼吸もままならいほどのその様子に悔しくてうっすらと涙が浮かんだ。
「潤人さん、いぢわる…」
むぅ~!再びうつむいた雪成に気付いて、潤人はなんとか笑いを治めた。
「ふぅ~…ごめんね?ユキくん。だってあまりにも可愛かったから。…俺が言った『付き合って』はユキくんが思ってるようなのじゃなくて、…恋人…としての付き合ってだったんだけど…予想してた応えの斜め上を行った感じだったから、おかしくなっちゃって」
「え、え!?えぇえぇぇ!?だって、僕、男で…ぇ、潤人さんは…えぇぇ!?」
やっと意味を理解した雪成だったが更に混乱してしまった。
世間にそういう人がいるのは知っていたが、潤人がソッチ側の人でまさか自分が対象になるとは思ってもみなかったのだ。
「あ~うん。今のでユキくんが純粋で色恋に免疫がないのはなんとなくわかった!ごめんね?ちょっと急ぎ過ぎだよね?」
わたわたする雪成を宥めつつ、潤人は突っ走ってしまった自分を反省する。
だが、からかったわけではないし、むしろ本気だ。
こんなにも他人の事を知りたいと思った事は今までになかったことだ。
この心に芽吹いた小さな芽を大事に育てていきたい…
「それなら、『友達』からでいいからはじめてくれないかな?もっとユキくんのことが知りたいし俺の事も知ってほしい。恋人云々は後にして…どうかな…?」
どう答えていいものか視線をさまよわせる雪成に潤人はそう提案をした。
雪成は少し考えると…
「はいっ!」
そう言って笑顔で握手を求め手を差し出した。
その手を潤人がすぐに握ってくれる。
「よろしくね」
「よろしくお願いします」
これが二人の第一歩となったのだった。
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