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VIP待遇を受けて乗り込んだ車の中、瀬尾の止まらないお喋りに雪成が声を出して笑う程緊張がほぐれた頃、とあるビルの地下駐車場でようやく車は停まった。
「着きましたよ~」
車を降りた充成と雪成は瀬尾に案内されるままビルの中へと入り、アルファベットで大きくAと書かれた扉の前にやって来た。
ちょうど目線の辺り(瀬尾にとっては顎の高さだったが)にある『関係者以外立ち入り厳禁!!』と殴り書きされた貼り紙を気にもせず、瀬尾は 少し重そうなその扉を勢い良く開けた。
「お疲れ様です~!お待ちかねの人をお連れしましたよ~!」
瀬尾は何処か間の抜けた感じでそう言うと、自分はサッと脇に避け 扉を押さえたまま「どうぞ」と雪成と充成を招き入れた。
「おじゃまします…わっ!」
遠慮がちに足を踏み入れた瞬間、バツッと言う音と共に稲光の様な強い光が視界を奪う。
突然の事に一瞬 平衡感覚を無くしてフラつく雪成を充成が支えてくれた。
「大丈夫?ビックリした?」
クスクスと笑う充成に ありがとうと小さく礼を言って体勢を立て直すと雪成は少し奥の光景に目を奪われ 言葉を失った。
「っわぁ…」
妖艶な衣装に身を包み、完璧なヘアメイクで優雅に立ち回る佳成の姿…その動きを追い 脇目も振らずファインダーを覗く笠原。
吸い寄せられるように雪成が歩を進めると、ふと佳成の動きが止まり、目が合った。
真剣な表情が見る間に見慣れた笑顔へと変わってゆく。
「雪!!」
その声に笠原も手を止めて、振り返った。
「おっ!来たね。…よ~し!ちょっと休憩~!」
笠原の指示でその場に居た全ての人が各々動き出した。
「雪ぃ!無事に着いたか!大丈夫か?瀬尾がうるさかっただろ?」
佳成が駆け寄って来て雪成の髪をわしゃっと撫でながら言うと、すかさず瀬尾が「うるさくなんかしてませんよ!」と鋭く訂正をする。
「へへへ。最初は怖かったけど、面白い話を沢山してくれたよ」
雪成がフォローとも言えないようなフォローをすると『嬉しいんだか 悲しいんだか…』と瀬尾の情けない声がした。
そんなやり取りをする三人の脇を抜け、充成は笠原に挨拶をしていた。
「お招きありがとうございます。昨日はお構いもできませんで…」
「いえいえ…」
「…ところで、昨日のお話なんですが………でして……」
「………え!?ほんとに?……」
チラチラと向けられる充成と笠原の視線が気になりだした頃、話終わったのか笠原が雪成の前にやって来た。
「良く来たね?また会えて嬉しいよ。Yoshi から今日 君が来るって聞いて小躍りしたぐらい」
「あ、笠原さん。お招きありがとうございます。僕、佳にぃが仕事してる姿ってあまり見たことがなくて…めいっぱい見学させていただきます!」
嬉しそうに笑う雪成を眩しそうに見つめていた笠原だったが、急にその瞳がキラリと光る。
「ウーン。見学って言うか、体験しちゃえばいいよ!」
言うが速いか、笠原は 一瞬理解が出来ずにいた雪成を有無を言わさず抱え上げた。
「は?…わっ!え?えっ?えぇ~!?」
「笠原さーん!扱いはコワレモノ以上に丁寧にお願いしますねぇ」
軽々と雪成を担いだ笠原の後ろ姿を充成のそんな声が見送った。
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