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6Secret
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◆
無性にイライラする。
理由は単純で、これは嫉妬だ。
一祈さんのうなじにどっからどう見ても誤魔化し様のないキスマークが付けられていた。
ご丁寧に見えそうで見えない襟足に隠れた場所。
あれはどう見ても、俺のものだって意思表明だなんてことは同じ男だからこそ分かる。
相手も大体予想は付いていた。
「……あー……うぜえなぁ」
部室に備え付けられているベンチに腰掛けて、さっきからグルグルと渦を巻くどす黒い感情を無理矢理に押し込める。
大体、あの人恋愛潔癖症なんじゃねーの?
男に詰め寄られて押し倒されてあんなに怯えてた癖に火神誠って奴は良いのかよ。
今日だってたまたま一祈さんを見かけた時に、いつも通りその火神って奴もいた。
それも何でかフラフラした足取りの一祈さんに肩を貸して、体調が悪いのかと思えば、どう見ても様子が変で。
ジリジリ焦げ付く痛みを感じながら二人を見つめていたら火神誠と視線がバッチリ合った上に、シー、だなんてジェスチャーまでされて溜まったもんじゃねぇ。
あれは普通の友人を超えてるなんてこと、今迄散々遊び回って居たんだから分かるに決まってる。
でもほんの僅かに勘違いであって欲しい気持ちでホームルームが終わってからここまですっ飛んできたのに、結局期待は裏切られるどころかそれ以上のダメージだ。
「……帰ろ」
グルグル、グルグル、いくら振り払っても考えは消えない。
こんな時は気晴らしだと携帯のアドレス帳から気分で適当な女の子に電話をかけると遊ぶ約束を取り付けた。
つーか、そもそも俺だって一祈さんに対して本気なわけが無い。
男だろ、男。
ちょっとイケるかも〜て思っただけだ。
この苛立ちも、焦げ付く痛みも勘違いだ。
1ヶ月前の俺に戻れば万事解決。
一祈さんにさっきみたいな醜い八つ当たりもし無くて済むし、今迄通り仲の良い先輩後輩に戻れる。
それすれば俺も楽だしな。
そうやって気づいてる感情を誤魔化す事なんて無理だと分かっていても、押し殺して。
微かに残る一祈さんの肌の感触が指先から消えないまま、俺は部室を後にした。
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