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チェンレイ『First Kiss』
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「あー綺麗だなぁ」
僕はいつもいつも見つめていた。
美しく儚げで心も綺麗な、イシンひょんを。
「クリスひょんの隣にいるとこうなんていうか、美しい恋人っていうか、人妻感があって〜!」
今日も今日とてミンソギひょんにイシンひょんへの想いを語る。
「ルハニひょんといるとハナノカンバセが際立つっていうんですかね!もう美少女二人っていう感じがして!」
「……ルハニに美少女なんて言ったら蹴られるぞ」
女性と間違われるほどの美しい顔を持つルハニひょんは、ミンソギひょんの恋人だ。ちょっとナルシストな一面があり、ルックスを褒められるのは好きだが女性のように綺麗だと言われるのを嫌う。
「もちろん、タオやミンソギひょんと一緒にいてもこう絵になるっていうか、もうなんですかね!ネコが戯れてる感じ!」
「それ俺とタオだけじゃんか……」
呆れながらもずっと聞いてくれるミンソギひょんは、僕にとってはルハニひょんを落とした憧れの人だ。いや、ルハニひょんに落とされた感はあるが、とにかくあんなに美しい人をゲットできたなんてすごく羨ましい。まぁ、ミンソギひょんも整った可愛らしい顔なので、当然と言ったら当然の成り行きではある。
「やっぱ美形の隣には美形じゃなくっちゃ〜!」
僕はクリレイ、ルゥレイ、レイタオ写真を見せながら、いかにイシンひょんが美しいか、中国の宝だという持論を展開する。ちなみにミンソギひょんとイシンひょんのツーショットもあったのだが、ルハニひょんに見付かって没収されてしまった。
そのあともいつものごとく、滔々とイシンひょんの美しさについて語っているとミンソギひょんが呆れた声で言い放った。
「だーかーらー、それ俺じゃなくて、イシンに言えってーの!」
「言えるわけないじゃないですかっっ!」
僕は事務所に入ってすぐにデビューが決まり、デビュー組としてすでに練習していたメンバーと合流した。そこで一目惚れしたのが、イシンひょんこと、チャン・イーシン。Mのメインダンサー、レイひょんだ。整った顔に、恵まれたスタイル。抜群のダンススキルに一瞬で心を奪われて、視線が外せなくなった。
でも、イシンひょんの隣にはいつも美形なメンバーがいた。特に長身で4ヶ国語を話せるモデルのようなクリスひょんとはクリレイとファンに呼ばれるほど、お似合いのカップルで見惚れるほど美しかった。二人の間にはとてもじゃないが入り込めない。
同じメンバーなのにこの差はなんなんだろうと日に日に虚しさが募っていた。そんなある日、ホテルで初めて同室になった。毎回ホテルではミンソギひょんと同室だったが、それを羨んだルハニひょんに強制的に部屋割りを交換させられたのだ。
ルハニひょんから渡されたルームキーを使って、部屋に入る。
「お邪魔します……」
まるで上司のお宅にお邪魔するような妙な緊張感に足取りが重くなる。
「いらっしゃぁ〜い」
のんびりした声でベッドから出迎えてくれるイシンひょん。既に荷を解き、部屋着に着替えリラックスしているイシンひょんに胸が高鳴る。あぁ、やっぱり美しい!本当は写真を撮りまくりたいところだが、グッと抑えて隣の空いているベッドに潜り込む。
「せっかく一緒のお部屋になったのに〜もう寝るのぉ〜?」
ぽわわぁんとしてるくせになんて大胆なことを!普通に受け取ればいいものの、恋する気持ちはどうしても都合のいいように解釈してしまう。今日は寝かせないで……?と言いながら、しなだれる姿を想像しては慌ててかき消した。
「ダンスレッスンで疲れちゃって……」
新しいCDを出す度にフリも歌の難易度も上がっていく。歌はすぐに入ってくるが、事務所に入るまでダンスなんてしたことがない僕にとっては新しい曲の振り付けを覚えるというのは、他のメンバーの何倍もの時間をかかる作業で、体力にはそれなりの自信があった僕でも疲労困憊だった。
「そっかぁ、僕ならいつでも教えてあげるよぉ〜?」
優しく言ってくれている言葉を僕の脳はまた疚しいワードに変換してしまう。脳内ではイシンひょんがシャツ一枚を羽織り、僕に跨り「ひょんが教えてあ・げ・るっ」と唇を舐めながら……
「……ンデぇ?ジョンデぇ!」
我にかえるとイシンひょんがベッドの横に立ち、僕の肩を揺さぶっていた。
「ジョンデぇ〜大丈夫ぅ?お水でも飲む?」
慌ててコクコクと頷くと某脳を振り払うために頭を振るう。イシンひょんがミネラルウォーターのペットボトルを差し出してくる。
「あぁ、すみません。いただきます」
半分ぐらいしかない中身に軽く疑問を覚えながらも、ゴクゴクと飲んでいく。今夜はどうやってやり過ごそうかと考えあぐねているとイシンひょんが唐突に呟いた。
「……間接ちゅぅだねぇ〜」
予想外の発言にグホッと大袈裟に噎せる。ゲホゲホと気管に入った水に苦しんでいる僕の背中を、イシンひょんが撫でてくれる。イシンひょんに触れられているという事実だけで、僕の頭は沸騰しそうだった。そのまましばらくして落ち着いてくるとイシンひょんが背中を優しく撫でながら、屈んで僕の顔を覗き込んだ。美しい顔の突然のドアップに息が止まる。
「どうせなら、本当にちゅーしちゃう?」
耳からは確かにそう聞こえたのに、これは夢か願望かと頭がついてこないでフリーズしてしまう。何か言わなくてはと焦って脳をフル回転させていると、ふわっと唇に風が通り過ぎたような感覚がした。
「ジョンデの唇って、ちょっとカタいんだねぇ」
それと冷たい。そう言ってにっこり微笑むと、イシンひょんはふわふわと僕から離れ自分のベッドに潜り込む。
「ジョンデぇ〜おやすみぃ〜」
そう言うとすぅすぅと寝息が聞こえてきた。一人取り残され、呆然としたまま今起きた出来事を必死に理解しようと濡れた唇を拭うと唇に指が触れた感覚で、一気にさっきの出来事が蘇る。
「うっっわぁっぁぁぁっぁぁぁぁ!!!!!!」
日頃の鍛錬の賜物とも言うべき肺活量をフルに使い、パニック状態で大声で叫ぶと隣の部屋のルハニひょんが激怒しながら入ってきて鉄拳と雷を落とされる。暗くなっていく意識の中で、雷を落とすのは僕の得意技なのになぁとボンヤリ考えていた。
2015/10/07 チェンレイ/First Kiss
レイさん、Happy BirthLay‼︎
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