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五人家族 Side葵
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「あおい兄ちゃん、おかえりーっ」
今年で小学4年生になった弟が嬉しそうに玄関に走ってくる。
「ただいま菊―きく―、桜兄ちゃんは?」
「んとねー、さっきお部屋にいたよー」
靴を脱ぎながら菊の頭を撫でる。
ひょこっと顔を出した母さんがそれを見て笑っていた。
「お帰り葵、学校どうだった?そろそろ慣れた?」
「ただいま。そろそろってまだ二日目だよ・・・まぁでもいい感じかも。あ、今度の土曜日友達が来る」
服を引っ張って抱っこをねだって来た菊を持ち上げて、居間に入ると父さんも居た。
「あ、ただいま。早いね」
「あぁ、おかえり。今日まではほとんどあいさつ回りだからな。それで?今度の土曜にもう家に呼べる友達出来たのか。良かったじゃないか」
「お兄ちゃんのお友達?どんな人?」
「えーっとな、一人は凄い楽しい人で、もう一人は静かだけど頭が良くて・・・二人とも優しい人だよ」
「まぁ、じゃあケーキでも買って来ようかしら」
「ははっ、母さん流石にそれはあちらが気を遣うんじゃないか」
あーちゃんは遠慮しなさそうだな、それで斗真が怒って・・・何か想像できるな。
そんなことを考えていると、背中に軽い衝撃がきた。
「ん?お、ただいま桜」
「おかえりー、兄ちゃん眠い、背中貸して」
「ほんっとに仲良いわねあなた達、見てお父さん。兄弟で団子になってるわよ」
「ん?ははっ、どれ、父さんも参加しようかな」
「えー、じゃあお母さんも」
「え、ちょ、ちょっと流石に無理っ」
俺一人で弟二人+大の大人二人を支えられるわけもなく、その場で全員倒れてしまった。
「あのさぁ、母さんたちも混ざりたいのは分かるけど体格考えてよね」
「でも桜が最初に始めたんじゃない」
「ちがうのっ、僕が最初にだっこしてもらったもんっ」
「きーく、そこは別に威張るところじゃないぞー。そういえばさ、桜はやっぱり名前のこと言われた?」
「あ、言われた言われた。少女漫画でありそうとか言われた。兄ちゃんは?」
「葵って呼びたいって言われまくったな」
「良いじゃないか、仲がよさそうで。なぁ菊」
「僕はきくくんっていっぱい呼んでくれるよ」
「菊は年的にも良いけどさー、俺らはちょっと違うよ。なぁ兄ちゃん?」
「だな。ってかそろそろ立とうよ。何でみんなで横になって喋ってるの」
「あ、ここに来てからまだこの床掃除してないわ」
母さんの突然の爆弾投下に、家族全員実に息の合った動きで立ち上がった。
「もうご飯出来てるから、お皿とか出してくれる」
「「「はーい」」」
前の家で何回もやっていた流れ作業を応用して、兄弟三人で速やかに夕食の準備をした。
夕食の席では新しい学校の話や職場の話をした後、母さんのご近所付き合いの苦労話で幕を閉じた。
桜に洗い物を任せて風呂を済まし、同じ部屋の菊を連れて部屋へと入った。
「菊。歯磨いた?」
「はーい」
「トイレ行った?」
「はーい」
「よし、それじゃあ寝るか」
「おやすみー」
ぼふんっと音がするくらい、菊が思い切り俺の布団にダイブした。
「菊はこっちでしょー」
UFOキャッチャーのように両脇を抱えて布団を移動させる。
「そうでしたー」
「はいはい。それじゃあお休み」
「おやしみ」
「おーやーすーみ」
「おーやーすーみ」
元気だなぁ、俺もこんなだったっけ?過去の記憶を適当に漁りながら俺は電気を消した。
目をつぶって寝ようとしたら、不意に放課後先生から言われたことが脳裏によぎった。
『明石から、出来るだけ目を離すな』
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