アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
次の事
-
「あ、お帰り」
「ただいま」
廊下の向こうからひょっこりと顔を出した光に返事を返す。
にこりと笑った光は、そのまま玄関まで歩いて来て首に抱き着いた。
「はい、それじゃキスして」
頭半分低い光に少しだけ身体を傾けて唇を触れさせる。
「ん、今度は僕ね」
次は光が背伸びして、また唇が触れ合う。
「ふふっ、結構慣れて来たね。それじゃあ晩御飯の準備が途中だから着替えて待ってて」
「分かった」
靴を脱ぎながら、昼間の事を考える。
結局あの後藤宮は教室に帰ってきても見当たらず、そしてなぜか新沼も居なくなっていた。
矢部に訊いても『気にすんな』の一言で終わってしまい、何が何だか分からないまま午後の授業を迎えた。
授業には流石に出ていたけど俺も当然話しかけることが出来なくて、放課後は例によって先生に呼び出されていた。
それで明日からどうしようかなとぼやぼや考えながら着替えていると、居間から声が聞こえた。
「できたよー、早く来てー」
俺は少し急いで制服を着替え、居間へと向かった。
「ねぇ、太一兄さん学校で何かあったの?」
夕食のシチューを食べながら、光が唐突にそう聞いて来る。
「何で?」
「んー、何となく雰囲気で。何があったの?」
「・・・何って言うか、良く分からないんだけど、クラスの人怒らせたみたいで」
「何かされたの?怪我してない?」
光が焦ったように訊いてくる。
「いや、そういうのじゃなくて。避けられてるみたいなんだけど、理由が分からなくて」
「・・・」
「光?」
「・・・太一兄さんは、その人と仲直りしたいの?」
「ああ、そうだな。前みたいに戻りたい」
「何で?」
光の質問の意味が分からなかった、
「何でって?」
「その人と仲が悪いと、太一兄さんは何か損するの?」
「・・・しない、けど」
「じゃあ放っておけばいいじゃん」
いつもなら同意していたかもしれないけど、何故かその時は光の言葉が不快に感じた。
「それは嫌だ。何とかしたい」
「・・・そっか」
向かいに座った光の表情がいつか見た時みたいに抜け落ちて、静かにスプーンを皿に置いた。
「・・・光?」
「太一兄さん、僕前に言ったよね?慣れてきたら次の事教えてあげるって」
そう言えば、始めてキスをされた日にそんなことを言われた気がする。
でも、何で今そんな話を始めるんだ?
「太一兄さんも慣れて来たからね、次の事教えてあげるよ」
「でも光まだ食べてるだろ、後でで良いよ」
「今するの。良いからスプーン置いて」
声に冷たさが含まれ始める。
俺は少し疑問を感じながらもスプーンを置いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
42 / 48