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どうしてなのだろう。
小さい頃から僕と弟は、同じものを欲しがった。
2つあるものなら問題ないけれど
1つしかない場合は
自然と兄である僕が譲ってきた。
それが両親の教えではなかったけれど
僕の兄としての気持ちが
そうさせていたんだと思う。
僕、鈴原平太(スズハラヘイタ)には
1つ年下の弟、流大(リュウタ)がいる。
年が近いからか
僕たち兄弟はいつも一緒だったし
背格好も、さほど差がないせいか
周囲の大人たちには
まるで双子のようだと、よく言われた。
人見知りで自己主張の下手な僕と違い
物怖じしない、元気のある弟。
周囲の大人たちは
すぐ懐く流大の事を可愛がり
とても愛されていたのが、子供心にもよく分かった。
そんな流大の事が
羨ましくて仕方なかった事、今でも覚えている。
そんな僕たちには、すぐ隣に住む
井ノ瀬宝(イノセタカラ)という幼馴染みがいる。
僕と同じ年で、物心付いた頃には
いつも一緒にいた。
朝は一緒に幼稚園に行き、帰りも一緒。
家も行き来して、よく一緒に遊んだ。
いつも一緒に、隣にいられると思っていたんだ。
弟が、あんなことを言い出すまでは。
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