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今回の職場 6 side木崎
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「散らかっててスンマセン」
「いやいや、充分綺麗にしてるよ」
マンションの一室。積まれた資料であろうプリントと、カラーボックスに収納された布。洗濯物かと思えば衣装案の描かれたプリントが吊るしてあった。よくよく見るとミシンが2台。近くには裁縫道具らしきもの。
ベッドは半分ほど埋まって見える。
「スンマセン珈琲淹れてる暇無いんで自分でお願いします」
「そんなに切羽詰まってるの?」
「相手にナメられたく無いんで」
遅いとその分、ナメられますから。若いくせに衣装責任者とかやってると。と言いながら手捌きは目を見張る。
「型紙から?」
「オーダーメイドですよ。採寸時間かかりましたけど」
「いやホントすまない…」
「アンタが謝る事じゃない。あとうるさい」
「あ、ごめんね!?」
大人しく彼の仕事を見学する事にした。
型を採る所から裁断の流れは素早く正確。
「仮縫いは?」
「しない。まち針でいく」
それくらい時間が惜しいのか。
「惜しいよ。俺だって暇じゃない」
「え、今」
「そんなこと聞くだろうなーって」
手際よくまち針で留めてはミシンをかけていく。
『もしもしマネージャー?衣装責任者は?』
「隣で君のワイシャツ縫ってるよ」
『マジで?俺の?』
「珈琲溢してダメにしてくれた奴は黙っとけって言っといて」
「だそうだ」
『ケッ。えらそーに』
「あと30分」
ミシンの音が速くなった。
邪魔にならないよう廊下に出る。
『そんな凄いの?そいつ』
「凄いよ。ミツルギくんも1回話してみると良い」
『そうかねぇ…』
「それに…」
『あん?』
「久々に楽しめそうな子だ」
『タチわりぃな』
「それはどうも」
もう切るよ、と言って切った後、戸を開けて水蘭田君が顔を出した。
「…終わった」
「え、もう!?あと30分って」
「高速で仕上げた。悪くはないはず」
アイロンかけてくる。と言って戻っていった水蘭田君を見送って、また数分後に終わったと声をかけられた。
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