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閉じ込めてしまえば 3 side棗
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「なんで君は目を隠してるの?」
不意に、水蘭田君にそう問いかけたら、めんどくさそうに顔を歪められた。
「お洒落」
それだけ言って、あとはだんまり。
「あんたの所の奴、何なの?俺は仕立て屋でもないし、無限に体力がある訳でもない」
不服そうに、お昼時に言われた。片手にはコンビニの袋が提げられていた。
これからお昼かと問うと、食べ終わったと返された。
「衣装はダメにしてくれるし、殺陣は全然だし」
癖なのか、食後の珈琲をちびちび飲みながら愚痴っている。
俺は苦笑いしかできず、どうなのと問われる度に頭を下げた。
「役者としては凄いんだけどね。二人ともプロであることに自覚はあるみたいだし」
だから、衣装はダメにするし、延長で殺陣指導をお願いするんだろうけど。と呟いて、珈琲を飲み干してから水蘭田君が立ち上がる。
「俺も二束のわらじとか言われるけど、それでも俺の仕事だ。彼等の満足がいくまで付き合うつもりだから」
外だったから、そんなタイミングで風が吹いて、水蘭田君の前髪が少しだけ浮く。
その時、俺は見てしまった。左目が薄い灰色だってことを。
たまにあるらしい。色素の関係か何かで、オッドアイに生まれる人間がいるって事。水蘭田君もその人間らしい。俺の視線を感じてか、じっとりとした目で睨まれたけどね。
俺が水蘭田君の前髪を上げて、監禁を宣言した時の、絶望した色が色の違う左右の目に浮かんだときは、俺しかこの目に映したくなくなった。
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