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おでかけ 7
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意を決して、鍵を回した。ドアを開けて踏み込めば、淀んだ空気と共に腐敗した何かの匂いが混じって僕の鼻を刺激する。
「あのまま、出てきたんですね」
掃除を優先するべきか、荷造りを優先すべきか。先に換気した方が良いかな?冷蔵庫の中も掃除しないと、腐っちゃったやつとか消費期限切れたやつもあるし、洗濯物も中途半端に終わったままだっけ、
「翡翠!!」
「っ、ごめん、なさ、ぃ」
堰を切ったように、嗚咽が喉から溢れて止まらない。あの日に起きたことが、全て僕の中で再生されてしまっている。床に崩れてしまった僕は、縋るべきものがわからないまま、髪を、顔を、喉をぐしゃぐしゃに掻き毟って、呼吸さえままならなくなってしまった。
「翡翠さん!落ち着いて!ほら、!」
「吐いていい、吐いていいから。ゆっくり息を吐け。ゆっくり息を吸え」
どちらかも分からない手に、腕を止められ、背中をさすられる。胃液と共に逆流した朝食が、借りた服共々床を汚していく。
「服なんていい。翡翠、ほら、深呼吸」
「タオル借りるね?兄貴、翡翠さんの手握ってて」
謝りたいのに、口から出るのは汚い吐瀉物と胃液。嗚咽しかなかった。
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