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プルルルル…
プルルルル…
電話のコールがやけに長く感じる。
ーー早く出てくれ、お願いだ、涼真。
受話器を持つ手は汗ばんでいた。
『…もしもし?』
落ち着いた優しい女性の声。
昔から聞き慣れた涼真のお母さんの声だった。
「おばさん!!!!!涼真は!?」
『涼真?えっと、涼真なら昨日和くんの家に泊まったって朝方連絡があったけど…まだ帰ってきてないから部活やってるんじゃないかしら』
涼真は今日学校に来ていないから、勿論部活なんてしているはずない。
………ということは、涼真は家に帰っていないということだ。
サーっと血の気がひいていくのが分かる。
『…和くん?どうかした?』
「……えっ!?あ、いや!……あ、あの!今日も涼真うちに泊めるので!!よろしくお願いしますね!!」
『あらそう?昨日に続けてなんだか申し訳ないわねぇ。じゃあ、涼真が帰ってきたら連絡するわね』
「ああ、それなんですけど!部活帰りの涼真直接捕まえるので大丈夫です!!」
『ほんと?じゃあ、お願いね』
「はいっ!!!失礼します!」
早々と電話を切る。
咄嗟に嘘をついてしまった。
だが、涼真がいなくなったとなれば、おばさんは物凄く心配するだろうし、警察沙汰になりかねない。
そこまで事を大きくしたくなかった。
俺は震えた手で鞄からiPhoneを取り出すと、電話帳の履歴の一番上にある涼真の携帯番号に電話をかけた。
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