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壊さないで
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小瀬はきょとんとした顔を涼真に向けると、にやりと薄気味悪く嗤った。
「…涼真くんさあ、自分が何言ってるのか分かってるの?」
「分かってる!……つもり」
小瀬は、ははっと小さく嗤うと涼真に視線を戻した。
「つもりじゃ困るんだよねえ。俺だって、別に和哉くんのこと無抵抗に嬲ってるわけじゃないんだよ?……和哉くんに『罪を償わせてあげてる』だけなんだからさあ」
ねえ和哉くん?と言いながら、小瀬は、己の下で浅く息をしている和哉の汗ばんだ髪を梳く。
和哉の目は朦朧としていて、小瀬の服に苦しげに掴まっているだけだった。
……見ていられない。こんな和哉、見たくない。
ーー和哉と『親友』として、誰よりも長い時間を共に過ごしてきた。
和哉の笑った顔、泣いた顔、怒った顔、照れた顔、全部全部知らない顔はないってくらい、誰よりも見てきた。
和哉の色んな顔を隣で見ていたいとずっと思っていた、けど。
………無慈悲に苦しむ和哉の姿だけは見たくない。
和哉を、壊さないでくれ。
僕の大切な大切な和哉だけは、壊さないでくれ。
気づけば言葉が漏れていた。
「………小瀬には関係ないことだ」
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