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両腕
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電話を切ってすぐに、来夏が涼真の部屋に入ってきた。
「……涼ちゃん…」
泣いている涼真を見つけると、そっと抱き寄せる。
その温かさに、再び涙が滲む。
「……涼ちゃん、何があったの?ゆっくりでいいから、話して」
来夏のまっすぐな瞳に捕まる。
ーー言ってしまいたい。
言ってしまえば、きっと楽になるだろう。
でも、もし僕が和哉とヤったことを知ったら、僕がそれを理由に名前も知らない男に犯されたことを知ったら、来夏は僕を軽蔑し、和哉のことも侮蔑するのではないか。
そんな思いが胸にかかり、涙を溜め込むようにして俯く。
すると、背中に回っていた来夏の両腕がさらに強く僕を抱き込んだ。
「……俺には涼ちゃんが今何を抱え込んでいるのか分からないけど、俺はどんなことでも受け止めるし、力になりたい。でも、涼ちゃんがどうしても話したくないことなら、俺は無理に聞かないよ」
だから、と来夏が続ける。
「そんな悲しい顔はしないで」
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