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浅ましさ
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涼真が一通りの事を話し終わると、来夏は完全に黙ってしまった。
「…そっ、か。……あー、かなりショック、だな…」
来夏は頬を引きつらせて苦笑いしている。
本当ごめん、と謝ろうと体を前屈みにすると、来夏に制される。
「……でも、一番悔しいのは、涼ちゃんがそんな目に遭ってることに俺が全く気づけなかったこと」
「え……」
「涼ちゃんと付き合えたことで勝手に一人で舞い上がってちゃんと見えてなかった。これじゃ涼ちゃんの恋人失格だ」
……てっきり、声を荒げて怒鳴られるのだとばかり思っていた。
ふざけるな、二度と顔を見せるな、と罵られることを大いに予想した。
だが、現実では、こんな僕のことを受け入れ、しかも僕の身を案じて謝っている優しい恋人がいる。
気づけば涙が溢れていた。
罵られても、この関係が終わってしまったとしても、自分の過失なのだから仕方ない、と思っていた。
その上に、自分の本当の気持ちに気づいてしまった僕は、それを好都合とまで思ってしまっていた。
ーー最低だ。なんて自分は浅ましいのだろうか。
涼真は震える手で来夏にしがみついた。
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