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小瀬の過去2〜回想〜
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***
「なにしてる!!」
ワイシャツとスラックスが脱がされ、もう身に纏うものがなくなり、男が俺の腎部に手をかけたその時だったーー長身の男がすごい形相でこちらに向かって走ってきたのは。
先輩は、ちっと小さく舌打ちをするとその場から去っていった。
「大丈夫か!?何かされなかったか!?」
「…大丈夫です。……助けて下さってありがとうございました」
長身の男は、近くに散乱していた俺のワイシャツを手に取ると、肩にかけてくれる。
「寒いし、早くこれ着ろよ」
俺は、じっと男の顔を見てしまった。
ーー何故この男は俺に普通に話しかけてくれるのだろう。
俺を労わってくれるのだろう。
こんな風に扱われたこと自体が初めてで、どうしていいか分からなくなる。
「どうした?具合悪いか?」
「あっ…いえ、何でもないです」
「本当か?胸ポケットに青の薔薇の飾りつけてるってことは一年だよな?俺も一年なんだよ!」
「はい、一年です。よろしくお願いします」
よろしくお願いします、だなんて知人でもないのに図々しいかもしれない。そう思っていた時、男が大きな声で笑った。
「お前敬語やめろよ!俺の名前は岡本和哉!友達なんだから、もっと気軽に話してくれて全然いいのにー」
「え?」
ーー友達。
そんなこと、今まで生きてきて一度も言われたことなんてなかった。
胸がじわりと熱くなる。
気づけば、涙が頬を伝っていた。
「ごめん!俺なんか変なこと言った!?悪い!」
違う、と震える声で否定する。
「……嬉しく、て。初めて友達って言われたから」
控えめにはにかむと、和哉は一瞬目を大きくして、にこりと笑った。
「……お前さ、笑ってた方がいいよ。それに、髪の毛も短くした方が似合うと思うぜ?そういえば、名前は?」
「……智樹。智樹って呼んでほしいな」
「智樹かあ!よろしくな智樹!」
和哉は、眩しい笑顔で笑うと、座り込んでいる俺に手を差し出し、立ち上がらせてくれた。
ーーあぁ、毎日和哉くんの隣で笑っていられたらいいのに。
そう強く思った。
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