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開かれる
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タクシーに乗り、来夏のお父さんの仕事部屋から密かに持ってきた小瀬の住所の書かれたメモ用紙を運転手に見せる。
涼真の家から小瀬の家まではそこまで遠くなく、車で25分程度で着いてしまった。
「……ここが、小瀬の家か」
父さんに連れられて来た時は夜だったこともあり、しみじみと屋敷を外から見ることはなかった。
だが、こうして見てみれば小瀬の家はかなり大きく、正直和哉がどの部屋にいるか探すのは至難の技だということは言うまでもなかった。
……大きな玄関。
インターホンを鳴らすと、聞いたことのない低い声で『はい、どちら様でしょうか』と返ってくる。
何と返そうか迷っていると、涼真がインターホンに近づき、「石川さん」と声をかけた。
「僕です、涼真です。小瀬くんに話があって来たのですが、ドアを開けてくれませんか?」
……石川と呼ばれた男から返事はない。
それもそうだろう。
涼ちゃんが知っているということは、石川はここの使用人で、小瀬に加担しているということだ。
そう簡単に家に入れてくれるわけがなかった。
だが、このドアを開けてもらわないと、次に進めない。和哉を救い出すことができない。
力業で強行突破をすることを考えもしたが、そんなに簡単に開くような柔なドアではないことくらい見ただけで分かる。
なんとかしてドアを開けてもらえる手段はないのかと頭を擡げていると、不意にドアが開かれた。
ーーそこには、バツが悪そうに立っている男の姿があった。
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